第四章
[8]前話
「家族になるならね」
「名前は必要よ」
「じゃあ名前何にしようか」
その話になった、そしてだった。
父がその犬をじっと見て言った。
「黒犬で雄だからクロでいいか」
「黒なんだ」
「ああ、マックスとは違う感じの名前だけれどな」
こちらは日本風の名前だがというのだ。
「そうしよう」
「それじゃあね」
「ああ、それでいいな」
「うん、じゃあね」
仁一は父の言葉に笑顔で頷いた、そうしてクロの分の犬小屋や餌に水を入れる皿も用意されてだった。
クロはマックスと共に家族になった、すると。
マックスとクロはいつも一緒にいて非常に仲がよかった。それはまるで実の兄弟の様であった。散歩の時もそれは同じで。
「ワン」
「ワン」
「いつも仲がいいよね」
仁一はその二匹を見て両親に笑顔で話した。
「どちらも大人しいし」
「ああ、若しかしたらな」
父はそんな二匹を見つつ言った。
「マックスがはぐれたことは大変なことだったけれどな」
「それでもなんだ」
「クロに出会えて助かってクロもな」
どうも山でマックスを何かと助けてくれた彼もというのだ。
「マックスと出会って助かったのかもな」
「クロもなの?」
「野良のままだとそのまま山で生きるか」
そこで死ぬか、というのだ。
「保健所行きだったからな」
「そうなっていたからなんだ」
「ああ、クロもうちに来られたからな」
だからだというのだ。
「助かったからな」
「マックスがクロを助けたんだ」
「クロがマックスを助けてな」
そしてとだ、父は二匹のそれぞれのリードを持ちつつ一緒に散歩をしている息子に話した。二匹共大人しいので散歩自体は楽だ。
「マックスもなんだ」
「クロを助けたんだ」
「そうだろうな、人も犬も誰かを助けると」
そうすると、とだ。父は暖かい笑顔で話した。
「自分も助かるんだ」
「そうなるんだ」
「それが世の中だろうな」
「そうなんだね」
「だから今クロもうちにいるんだ」
マックスを助けた彼もとだ、こう言ってだった。
二人で犬達の散歩を行った、そして家に帰って母が作ってくれた晩ご飯を食べた。二匹にはドッグフードが与えられ仲良く食べた。
家族との再会と 完
2020・4・26
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