第十一話 束の間の休息
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ボディを使っていて…今のヴァンのような姿ということくらいよ」
「そう、か…」
プレリーの話からして、自分に取り憑いたライブメタルは自分の想像以上に恐ろしい存在なことくらいしか分からない。
「ごめんなさい、役に立てなくて…私、当時は幼いこともあって戦いから遠ざけられていたの…私もお姉ちゃんやお兄ちゃんに甘えてばかりだった…私にも、何かお姉ちゃん達のために何か出来たかもしれないのに」
二人がいなくなってから、プレリーはいつも後悔していた。
自分にイレギュラーと戦う力や何かを作り出すような技術があるわけではないが、出来ないなりに何か二人の力になれたのではないかと。
「なあ、プレリー」
「……?」
後悔で俯いていた顔を上げると、ヴァンが優しく微笑んでいた。
「俺がいた運び屋に、俺やエールを含めて先輩が引き取った奴がたくさんいるのは知ってるだろ?」
「ええ、ジルウェさんから聞いているわ」
「その中には当然、俺達よりも年下の奴らもいるんだ。まあ、俺やエールにとっては弟や妹みたいな感じだな。あいつらも引き取られたばっかりの時は塞ぎ込んでた。そんなあいつらを知ってるから、俺達のことを本当の兄さん姉さんのように懐いて笑ってくれるのが嬉しいんだ…あいつらが元気に笑ってくれるなら嬉しくて安心する…多分、プレリーのお姉さんとモデルZのオリジナルのお兄さんも俺達と同じだと思うぞ?」
「お姉ちゃんとお兄ちゃんがヴァン達と同じ?」
「きっとプレリーのお兄さんもお姉さんも、小さかったプレリーが戦いのことで傷付いて悩んでる姿を見るくらいなら、元気でいて笑って自分の傍にいてくれる方がずっと嬉しいに決まってる」
自分はプレリーの“お兄ちゃん”と“お姉ちゃん”のことは知らないが、二人が優しい人物なことくらいは分かる。
プレリーが慕い、モデルX達を作った人とモデルZのオリジナルになったレプリロイドならばきっと優しかったことくらいは理解出来る。
「そう…かしら…」
「ああ、プレリーはお兄さんとお姉さんの力になれていたと思う。大事な人が傍にいてくれるのって結構ありがたいんだぞ?こんな体になったから余計にそう思う」
自分の胸を擦るヴァン。
もう自分はこのライブメタルが離れない限りは以前の生活は出来ない。
だからこそ、大事な人が傍にいてくれることのありがたさを理解しているのだ。
「破壊神だとか言われたり、とんでもないことをやらかした奴がオリジナルとかとんでもないライブメタルだけど、力はあるんだ…この力を使って、絶対にセルパンを倒す。母さんや運び屋のみんな…そしてプレリー達のためにもさ」
「ヴァン……ありがとう…」
瞳を潤ませたプレリーが笑顔を浮かべながら礼を言う。
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