アイングラッド編
紅き剣閃編
Triumphant Return―凱旋
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ている。
俺はそれに振り向いてにやりと笑う。
「生憎、俺はある目的を果たすまでは色恋に惑ったりしないし、それまで死ぬつもりはない。そうだな……予言しよう。今日のボス、キリトが最後を決める。俺はその時に一手だけ介入する。団長殿の出番は来ない」
ヒースクリフは面白いものを見た顔になり、やがて苦笑した。
「そこは通常、『俺が倒す』というのではないかね?」
「それは格好いい主人公の役目さ」
「……MMORPGに主人公は居ないものだと思うがね」
「居たっていいじゃないか、この世界じゃ必然的に生まれるだろう。……《勇者》は趣味じゃないが、そいつの《希望の光り》にはなれる」
「……大した光りだな、君は」
「いや、最近その位置をアスナに取られつつあるような気がするのが少しばかり虚しい……」
ヒースクリフはその言葉にふっ、と笑うと去っていった。
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side キリト
3時間後、75層のゲート広場には異様な緊張感が流れていた。
当たり前だ、ボス戦史上初めて全くの未知のボスに挑むのだから……。
が、俺とアスナがゲートから出てくると、目礼もしくはギルド式の敬礼をしてくる者まで居るではないか。
アスナは慣れた様子で返礼しているが、俺は戸惑いを隠せない。
「ほら、キリト君はリーダー格なんだからキチンと挨拶しなきゃだめだよ」
「っていってもなあ……」
後頭部をバリバリかきながら辺りを見回すと、知った顔が2人いた。
「クライン、エギル」
「おーう、キリの字。やっぱし来たか」
「2人とも元気そうだな」
「クラインはともかくとして、エギル。お前、商売はどうしたんだよ」
「おいおい、今回のはえらく苦戦しそうだからわざわざ来てやったのに、この無私無欲の精神を理解できないたぁ……」
「無私無欲の精神はよーく分かった。じゃあ、今回の戦利品の分配はお前抜きでやっていいんだな?」
「いや、それとこれはまた別の話……」
クスクスとアスナが笑い始めたのを皮切りに笑いが辺りに浸透していく。
その時、ゲートの方からざわっとざわめきが起こった。
ヒースクリフ率いる血盟騎士団の精鋭達だ。
「キリト君。急な召集に応えてくれてありがとう。《二刀流》存分に揮ってくれたまえ……ところで、レイ君を見なかったかね?」
「……いつもみたいに、遅れて来るんじゃ……」
再度のざわめき、いや、それと同時に静寂が訪れる。
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