大きな罪
被害者
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「嘘でしょう。」
依頼件数が今までの約五倍、数時間で百件以上の依頼が来ていた。これには、私も驚きを隠せなかった。菻の言っていたように、忙しくなってしまった。
「とりあえず、片付けよう。」
私は増え続ける依頼の、処理をはじめた。しかし、依頼は増え続ける一方だった。
「どうして。」
依頼は手が終えないほど今も増え続け、処理が間に合っていなかった。だからと言って、依頼が来ないようにすることは出来ない。ならば、どうすればいいのだろうか。
「玲、焦らないで。」
宏の声が聞こえた。そうだ。慌てていても、答えは見つからない。
「ありがとう。」
落ち着こう。今日と明日を乗り切ればきっと大丈夫なはずだ。私は徹夜を覚悟で作業に取りかかろうとしていたとき、宏に声をかけられた。
「玲、僕はも帰るね。」
「そっか、ごめんね。何も出来なくて。」
「そんなことないから、ありがとう。じゃあ、もう行くね。」
「またね。」
宏が帰って行くのを見送り、作業に戻った。この多くの依頼を、少しでも多く完了させたかった。その後私は、パソコンとずっとにらめっこをしていたのだった。
慌しい休日を過ごして、今日からまた授業だ。だけど、睡眠不足のせいで頭が働かない。この休日は、一睡もしてない。おかげで、授業の内容が頭に入ってこない。
「頭、痛い。」
「大丈夫か、玲。」
「まあ。ありがとう、宏。」
長かった今日の授業も終わり、あとは部活だけだった。相変わらず携帯は静かにならないけど、休日よりはいくらかましだ。
「手を動かさないと間に合わなくなるよ。」
そう言って私は、笑顔を取り繕った。
「さてと、私もやろう。」
そして私は、筆を取った。だが、限界が来たようだ。視界が狭くなっていって、ついに消えた。
バタン
彼女は床に倒れてしまった。疲労が積み重なった結果だった。
「玲。おい、しっかりしろ。玲。」
宏が呼びかけても玲は反応しなかった。彼は玲を抱きかかえて、保健室へと向かった。
どれほどの時間が流れたのだろう。私が目を覚ますと、そこは保健室のベットの上だった。横を見ると、宏が椅子に座ったまま寝ていた。
「宏。」
「起きたか。大丈夫か、玲。」
「うん。」
私、確か美術室にいて。そこから、思い出せない。
「もしかして、宏が私を。」
「そうだよ。いきなり倒れたから、驚いた。」
「ありがとう。」
ベットから起きて、上履きを履いた。
「もう平気なのか。」
「うん。もう心配はかけられないから。」
わたしは先生にお礼を言い、保健室を出た。廊下はすでに、赤く染まりはじめていた。前を宏が、その後を私が歩いていた。そのまま部室にいると思っていたが、拓真と結城が私達の荷物を持ってきてくれた。
「他の部員達は、どうしたの。」
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