第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第17話 十六夜再び:後編
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
対的に難易度は跳ね上がる。
「……ここは勇美と同じやり方で行くとしましょう」
そう言って依姫は念じて神に語り掛けた。
「『風神』よ、我にこの霧を振り払う力を」
その言葉に続いて依姫に、メディスン戦で勇美もその力を借りた神が光臨したのだ。
だが、勇美の時とは違っていた。彼女の時は巨大な送風機を作り出したのだったが、今の依姫に起こっているのは、彼女の手に握られた刀がまるでギロチンの刃のような大刀と変貌していた事であった。
それを依姫は振りかざし、スペル宣言をする。
「【強刃「風神刀」】!」
それに続いて、彼女は振り上げた大刀を勢いよく振り下ろしたのだ。
すると、その刀から分厚い風の刃が放たれ、進路にあるナイフをなぎ払いながら突き進んでいったのだった。
「!!」
今度は咲夜が驚愕する番であった。霧もナイフも風の刃に吹き飛ばされ、あまつさえその刃は今正に彼女の目の前に肉薄していたのだから。
「依姫さん、やっぱりあなたは凄いです」
この様子を見守っていた勇美は感嘆の言葉を漏らした。メディスン戦で自分が風神の力を借りた時よりも技の規模も切れも段違いであったからだ。
だが、その刃は彼女を捕らえる事はなく通り過ぎて行ったのだ。『当然であろう』。
「……やはり厄介ね、貴方の能力」
やはり依姫は警戒する。
「いえ、間一髪といった所でしたわ」
しかし、咲夜とて余裕という訳ではなかったのだ。彼女の力は凄まじい汎用性を持つとはいえ、万能ではないからだ。
だから、彼女は攻め続けなければいけないと思い、次の手を打つのであった。
「続いて行きますわ、【速符「ルミネスリコシェ」】!」
咲夜の第三回目のスペル宣言がなされたのだ。
「あの時のスペルね」
そう依姫が呟いた通り、彼女が咲夜と月で戦った時に見たスペルであった。
そして、あの時と同じように辺りにナイフが展開され、それが意思を持った生き物であるかのように全て依姫に刃を向けたのだ。
(同じ手を使って来た……、やはり彼女には秘策があるのでしょう)
依姫はそう感じた。だが、今の状況に対処するにはやはり『あの時』と同じが手っ取り早いだろう。依姫は敢えて咲夜の策略に乗る事にした。
「『金山彦命』よ!」
そう依姫は金属の神に呼び掛けた。
「このうるさい蝿を再び塵へと返せ」
そして、月では行わなかったスペル宣言をする。
「【金符「解体鋼処」】!」
依姫が宣言し刀を振り上げると、ナイフを構成する銀は分子レベルまで分解され砂のようにサラサラと空気中へと溶け出していったのだ。
ここまでは月での時と同じ。だが、今の咲夜の表情は歪な笑みへと変貌していた。
「かかりましたわね、これは囮ですわ」
「そうでしょうね」
やはりといった風に依姫は嘆息する。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ