第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第17話 十六夜再び:後編
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遂に始まろうとしている依姫と咲夜の再戦。その前に咲夜が口を開いた。
「あなたは相手の攻撃に対して対処する形の戦法が得意でしたわよね。なら私から行きますよ」
そう言って咲夜は先手を取る事にしたのだ。
「その余裕が命取りにならなければいいけどね」
挑発的な態度の咲夜に、依姫も軽口で返した。
「心配ご無用ですわ、では……」
言って咲夜は最初のスペルカードを取り出し、宣言する。
「【幻符「殺人ドール」!】」
そして咲夜は自分の手に次々と銀のナイフを現出させては投げる行為を繰り返していった。
依姫に迫り来るナイフの群れ。だが彼女は落ち着いていた。
「『愛宕様』よ!」
すかさず火の神に依姫は呼び掛けると、彼女の両手が炎で包まれたのだ。そしてスペル宣言をする。
「【火弾「伊の英雄の秘技」】!」
続いて右手、左手、また右手と振りかざし火の弾を次々に射出していった。彼女がルーミア戦で使ったものと同じスペルであった。
これにより咲夜の放ったナイフの群れは弾かれるような音を立てて次々に撃ち落とされていったのだった。
「やりますわね」
先手を攻略されて、咲夜は感心したように言う。
「でもそんな面倒な事をしなくても、いつぞやの『カナヤマヒコ』とやらは使えばいいのではありませんか?」
「それでは芸がないわ」
依姫は軽口で返しながらも、これで確信した。──彼女は金山彦命に対処する術を持っているのだと。様子見で金山彦命の力を使わなくて正解であったようだ。
「続いて行かせてもらいますよ、【幻葬「夜霧の幻影殺人鬼」】!」
そして、咲夜の二回目のスペルカード宣言が行われた。
「!」
依姫は少し驚いてしまった。何故なら、ナイフが咲夜から撒き散らされるのは先程と同じであったが、それに加えて咲夜の周囲から霧が立ち込めたからである。
その霧は、見る間に庭の周囲をすっぽり取り囲んでしまったのだ。
「どうですか? 霧の中でナイフに追い詰められるお味は?」
咲夜は得意気に言う。彼女は依姫とは違い正面からぶつかるタイプの戦法は得意としないのだが、それが彼女のスタイルなのだ。だから恥じる事なく振舞うのだった。
「ええ、粋な計らいね」
依姫も軽口で返す。
そんな彼女を霧の中に潜む無数の銀の殺人鬼は狙いを定めて的確に襲ってきたのだ。
「ふん」
だが、依姫は迫り来るナイフを次々に刀で切り落としていった。その度に甲高い金属と金属がぶつかり合う音が夜の庭に響いた。
「少し、しんどいわね」
やや弱気な発言をする依姫。彼女とて、視界の晴れない中で敵に狙われながら戦うのはそう簡単な事ではなかったのだ。
ルーミアとの戦いの時にも味わった事だが、今度の相手はそれよりも一枚も二枚も上手なトリッキーな戦法を取る咲夜なのであった。相
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