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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第16話 十六夜再び:前編
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わないわよね」
 そんな彼女に訝る依姫。
「いいえ、とんでもありませんわ。勝負の前にあなたに言っておきたい事がありましてね」
「と、言うと?」
 咲夜の言わんとする事を読めずに依姫は首を傾げる。
「他でもない、私の能力に付いてですわ。あなたの卑怯な事を嫌う、『武士道』とやらに免じてタネ明かししようと思いましてね」
「『武士道とやら』って咲夜、お前はジョルジュ・ド・サンドかい!?」
 思わず横からレミリアは無粋な突っ込みを入れてしまった。
「お嬢様、少し黙っていて下さい」
「……うん、ごめん。ちょっと悪ノリしてしまったわ」
 咲夜に嗜められて、レミリアは素直に謝った。この突っ込みを許してしまったら、咲夜は騎士は騎士でも凄い前髪の騎士になってしまうからだ。
「……話を元に戻しましょうか」
 気を取り直して咲夜は仕切り直す。
「ええ、そうしてもらえると私も助かるわ」
「では……」
 ここで咲夜は一息置く。やはり自分の内なるものを曝け出す事は誰しも覚悟がいるもので、咲夜とてそれは例外ではないのだ。
 だが、それでも咲夜は依姫には教えなくてはいけないと思うのだった。
 そして意を決する咲夜。
「私の能力は『時間を操る』力ですよ」
「それはまた大層な力ね……」
 咲夜に能力を明かされ、素直に驚く依姫。はっきり言って厄介たな力だと思った。時間を操るという事は誰しもが一度は渇望する力である。それを目の前の咲夜はあっさりと手にしているのだ。
「どうりですんなりと教えてくれる訳ね」
「ええ、知られてもそう簡単には対処出来ないでしょうから」
 それを聞いていた勇美は不安になり始めた。
(うわあ、咲夜さんの能力ってそんなとんでもないものだったんですか。依姫さんはどう戦うんでしょう?)
 そして咲夜は口を開く。
「どうしますか。作戦を練る時間が必要でしょうか?」
「いえ、すぐにやってもらって結構よ」
 咲夜の申し出に依姫はそう答えた。幻想郷での異変解決では基本相手と行き当たりばったりだと聞く。だから依姫はそれを想定して敢えて作戦を練る時間を取らずに受けて立つ事にしたのだ。
「では行きますわ」
「ええ」
 そしてここに因縁の再戦の火蓋が落とされたのだ。
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