第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第16話 十六夜再び:前編
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メイド、館の門番の妖怪紅美鈴、紅魔館の主の少女吸血鬼レミリア・スカーレットにメイド長の十六夜咲夜、レミリアの友人の魔法使いパチュリー・ノーレッジに、彼女の使いの小悪魔といった面子に、客人である綿月依姫に黒銀勇美という構成であった。
尚、この中で人間は咲夜と勇美の二人という事実は最早笑い話になるような域であった。
そんな中、咲夜とレミリアがこんな会話をしていた。
「お嬢様、妹様を呼べなくて残念ですわ」
「仕方無いわ、あの子はこの場に呼んだらどんな事態になるか分からないからね」
妹様、それはレミリアの妹のフランドール・スカーレットの事である。
彼女は姉であるレミリア以上の力を持ち、かつそれを自分で制御出来ていないのだ。更に彼女は少々気が触れていて情緒不安定であり尚の事気を付けなくてはいけない存在であるのだった。
それでも依姫ならフランドールが問題を起こしても対処出来るだろうとレミリアは思っていた──月で彼女と戦ったが故に実感が容易な事であった。
だが、それでもレミリアはこの場にフランドールを呼ぶ事は避けたのだ。
まず第一に、曲りなりにも依姫は客人なのだ。だからその彼女の前で問題が起きれば失礼に値し、それではおもてなし失格である。
そして第二に勇美の存在があった。フランドールに依姫は対処出来ても、勇美はそうはいかないだろうと懸念したのだ。
レミリアは吸血鬼であるから人間に対する情は薄い。しかし、自分で開催した催しもので勇美に危害が及べば後味が悪く、寝覚めが良くないのである。
だからレミリアは心を鬼にしてこの場にフランドールを呼ばない事にしたのだった。
そんな事をレミリアが思っている中で依姫と咲夜が話をしていた。
「あなたのご主人様は随分と派手好きなのね」
それが依姫が抱いた率直な感想であった。
だが、それによりレミリアを軽蔑する事はなかったのだ。月での彼女の一連の行動から、本当は彼女は部下や友達を大切にする律儀な人だと分かっていたからだ。
寧ろ、必要とあらば派手に決める彼女の振る舞いは堅実に物事を進める依姫にない持ち味なのである。
だから、依姫はこれからもレミリアと接して彼女から参考になる事を色々吸収していこうと密かな野望を持つのだった。
「それがお嬢様らしさですわ」
依姫に返す咲夜。そう、レミリアに興味があれど今の依姫の目的は咲夜との再戦であった。その事を再認識すると依姫は口を開いた。
「では、そろそろ始めませんか?」
「そうですわね」
言い合って二人は、庭の開けた空間に足を運んだのだった。
◇ ◇ ◇
「では行きますよ」
「ちょっと待って下さいませんか?」
意気込む依姫に対して、咲夜は突然待ったを掛けた。
「何かしら? 今更怖じ気づいたとは言
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