第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第16話 十六夜再び:前編
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ないかしら?」
「あら、それは何でですの?」
咲夜にそう言われて、依姫は先程勇美に話していた話題を咲夜に伝えた。
「あら、そんな事でしたの?」
「そんな事……」
あっけらかんと返す咲夜に対して依姫は言葉を詰まらせる。
「あの勝負はあなたの勝ちという事でよろしいではありませんか? 第一あの時降参したのは私なのですから」
「それでは私の気が済まないのでね」
だが依姫もここは譲れないものがあるのであった。そういう所が依姫が意外に根に持つタイプである事の所以であるのだ。
「まあいいですわ、ものの感じ方は人それぞれですし。分かりましたわ……」
咲夜はそこで一旦言葉を区切り、そして続けた。
「では、今夜我が主が治める紅魔館にご招待しましょう」
と、咲夜から意外な申し出が出る事となったのだ。
「恩に着るわ。でも、貴方の独断で決めていいのかしら?」
願ってもいない申し出に依姫は歓喜する一方で、頭に浮かんだ疑問も投げ掛けた。
「その事なら恐らく大丈夫ですわ。お嬢様も楽しい催しものは喜んで受けるでしょうから」
「それならいいわ」
咲夜の主張に納得する依姫。
「良かったですね依姫さん。それじゃあ今夜は楽しんで下さいね」
願いが叶った依姫を応援する勇美。だが依姫から返ってきた言葉は勇美が予想しなかったものであった。
「何言っているの勇美、貴方も来るのよ」
「えっ……?」
勇美は思わず絶句してしまった。
「何か問題あるかしら?」
「大有りです、だって紅魔館は人間にとって危険な所じゃないですか!?」
勇美は首を横にぶんぶん振って抗議する。
「あら、幻想郷では巫女や魔法使いは普通に出入りしているらしいわよ?」
「あんな人間離れした人達を基準にしないで下さい!」
勇美はさりげなく失礼な、だが的確に的を得た内容で抗議した。
「これは例が悪かったわね。でも大丈夫よ、私が付いているのだから」
「あ、確かにそうですね」
この依姫の一言に勇美は納得するのだった。下手に言えば自惚れになるような台詞も、依姫ともなればとても頼もしい言葉となるのだ。
「勇美、今夜の勝負は貴方にとっても勉強となるかも知れないから、見ておいて損はないわ」
「はい、お願いします」
勇美の考えもここに纏まったようだ。
「では、お二人さん。今夜は是非楽しんでいって下さいね」
こうして咲夜による紅魔館招待の話は決まったのであった。
◇ ◇ ◇
ここは森の中にある、湖の近くに居を構える屋敷──紅魔館──。
外観からして真っ赤なカラーリングのその館は禍々しさすら感じる。ましてや今は夜であるからその威圧感はなお一入であった。
その館の敷地内の庭に、テントやらテーブルやらが並べられて賑わっていた。
その内訳は多数の妖精
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