第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第16話 十六夜再び:前編
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その言葉に続けて勇美は「私なら勝ちは勝ちって事で受け止めてしまいます」と締め括ったのだ。
それを聞いていた依姫はニコリと微笑んで言う。
「これは人それぞれの問題だから、貴方はそれでいいのよ。価値観は他人に押し付けるものではありませんからね」
「依姫さん……」
勇美は依姫にそう言われて、肩の荷が降りるような心持ちとなった。──あくまで自分のやり方でやればいいのだと。依姫の考え方は素晴らしくても、それを自分が真似る必要はないのだ。
勇美がそんな思いを馳せていると、話題の発端である咲夜が自分達の側にやって来たのだ。
「咲夜さん?」
それに対して勇美が反応する。
「あら、あなたは最近変わった弾幕ごっこを始め出した……黒銀勇美さんね」
「えっ?」
思わず勇美は驚いてしまった。幻想郷でも上位の実力を持つ咲夜に自分の事を知られていた事に。
「私の事を知っているんですか?」
「ええ、最近のあなた、ちょっとした有名人よ」
「そうなんですか〜」
咲夜にそう言われて勇美は嬉しくなった。幻想郷でちょっとした有名人になる、即ち自分の憧れる幻想郷と渡り合っている裏付けとなるからであった。
「ありがとうございます咲夜さん。それで私達に何かご用ですか?」
「いえ、大した事ではございませんわ」
そして咲夜は説明を始めた。自分は人里に買い出しをしに来た所で、その途中で息抜きに茶屋に寄った所、目を引く人達を見付けた──それが勇美達であったという訳である。
そして咲夜は勇美の隣にいる人物、依姫と視線が合う。
「……」
「……」
そして起こる沈黙。
この状況を勇美は不謹慎ながらも面白い事になったと心の中で喜んでいた。互いに「ここで会ったか百年目」といったような修羅場になるのではとワクワクしてしまっていたのだ。
「月ではお世話になりましたわ」
「こちらこそ」
だが生まれたのは穏やかな空気であり、一触即発の事態とはかけ離れたものであった。
「あれ?」
思わず勇美は首を傾げてしまう。
「何でお二人は朗らかに話しているんですか?」
納得いかない様子の勇美。
「それは、月で会った時は侵略する側とされる側の関係であったからで、今は別にそんな事ないからよ」
「そういう事ですわ」
そんな勇美に対して説明する依姫と、それに対して相槌を打つ咲夜。
「確かにそうですけど……」
未だ納得いかない勇美であったが、二人に言いくるめられて返す言葉がなくなってしまった。
「もう、お二人がそれでいいなら私は何も言いませんよ」
そして勇美は潔くとはいかないまでも、この場は二人に譲る事にしたのだった。
そんな勇美の事は一先ず置いておいて、依姫は咲夜に話を切り出した。
「丁度良い機会です。貴方、私ともう一回弾幕ごっこをしてくれ
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