第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第15話 ちょっと変わった弾幕ごっこ:後編
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だ。彼女を中心として、物凄い突風が巻き起こる。
「!!」
それを見て、依姫は阿求が繰り出そうとしているこの攻撃をさせてはいけないと直感した。恐らく最後の出題の際に強力無比な攻撃を出来るようになっているのだろうと。
云わば時間制限があるようなものであった。阿求とて最後の問題を易々とは攻略させる気はないのだろう。
だが、依姫は慌てる事はなかった。何故ならこの出題はとても自分に馴染みのあるものだったからだ。迷わず彼女は『弾幕展開の際に本体がいなくなる』を打ち抜いたのだった。
そして、突風も霊気の集束も収まったのだ。
「正解ですね……」
晴れ渡った表情で阿求は言った。
「月の民であるあなたには難しい問題だったかなと思っていましたが、よくご存知で」
「ええ、色々ありましたからね……」
依姫は懐かしむように呟く。
まず、『倒した相手を追撃して殺す』。これは言うまでもなかった。かつて魔理沙に弾幕ごっこを薦められて、その無駄な血を流さない勝負方法に感心したものだったからだ。
次に『隙間のない弾幕を展開する』。これは依姫が月での弾幕ごっこの後に独自にルールを調べた際に知った事である。咲夜との戦いではそれを調べる前の事であったために隙間をなくす事で能力の穴を付く行為をしてしまった為に、現在彼女に対しては反則勝ちの状態にあるのだ。
だから、彼女とはもう一度決着をつけないければならない。それが依姫が次に決めている目標なのだ。
◇ ◇ ◇
「それでは、ありがとうございました。いい経験が出来ましたよ」
「いえ、こちらこそ月の民と弾幕ごっこが出来て貴重な体験が出来ました」
依姫と阿求はそう言い合い微笑み合った。そして、阿求は勇美に振り向く。
「勇美。あなたには少しいじわるしてごめんなさいね。前からあなたの幻想郷に対する勉強意識が強い事は知っていましたので、ちょっと魔がさしてしまったのです」
「ありがとうございます、阿求さん。でもいぢわるは程々にお願いしますよ」
勇美は苦笑しながら言った。これでは俗に言う『いじめたくなる程可愛い』という奴だろうかと。やっぱりこの人は腹黒い所があるなと勇美は遠い目をしながら思いに耽るのだった。
「では、また機会があったらお会いしましょう」
そして二人は阿求と別れ、帰路につくのであった。
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