第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第15話 ちょっと変わった弾幕ごっこ:後編
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それが原因だったのだろう。彼女に、抱いてはいけない魔が差してしまったのだ。
(考えてみれば、阿求さん自身は無防備だよね、バリアなんかを張っている訳でもないし)
その結論に至った勇美は、弾かれたように行動を開始してしまった。
「阿求さん、覚悟〜!」
勇美が抱いた考えは単純であった。出題に律儀に答える必要などない、出題者を直接狙って倒してしまえばいいというものだった。そして勢いづいて彼女は阿求目掛けて突っ込んでいったのだ。
これを見て阿求は、ポリポリと頭をかいて言った。
「やれやれ……こういう時の為に『これ』はあるんですよね」
そう言って彼女が取り出したのは、一枚のスペルカードであった。
「【反撃「フレア」】!」
その宣言と共に、突っ込んできた勇美を爆炎が包み込んだのだ。
「うきゃああああ!!」
情けない悲鳴を上げながら、勇美は吹き飛ばされてしまったのだった。
ずしゃあああ。そして見事に地面に倒れこんだ。
その最中、勇美は思った。この人はどこぞの炎に包まれた目玉のモンスターだろうかと。あのモンスターの名前の意味は『太陽の中の太陽』だろうか、それとも『太陽の息子』だろうかという思考が生まれていたが、この際それはどうでもいい話であった。
「勇美……それはやってはいけないわ」
依姫はある種爽やかとも取れるような表情で、愚行をしでかした勇美に突っ込みを入れた。
対して勇美は、倒れたまま動かない。
「……起きてるのに白目は気持ち悪いからやめなさい」
「バレました?」
そう言って勇美はむくりと起き上がる。
「ヒッテンミツルギスタイルの人みたいにしていましたが、どうせなら胸元も破けていた方が良かったですか?」
「ネチョになるからやめなさい」
「私、胸がないから大丈夫です……よ……」
「自分で言って凹むなら言うのやめなさいって」
やんややんやとコントじみたやり取りをする二人。
「あの……いいですか?」
一人取り残された阿求は二人の間に割って出る。
「あ、はい。お待たせしました」
それに対して勇美は謝る。
「ところで、勇美さん。あなたは反則をしたので、ここから解答権を失いました」
「ええっ……」
阿求の宣告に、当然ショックを受ける勇美。だが、ここで彼女は思い直した。
「そう、ですよね。反則してしまいましたからね。すみません、悪ノリしてしまって」
素直に謝る勇美。だが、今抱いている疑問は解消しなければならない。
「でも、阿求さん。それだけの強力な攻撃が出来るなら、普通に弾幕ごっこを出来るのではないですか?」
「いえ、これは先ほどのような反則行為が行われた時『だけ』発動出来るという、限定的なスペルなのですよ。つまり、普段から使える訳ではありません」
「そうなんですか……」
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