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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第14話 ちょっと変わった弾幕ごっこ:前編
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 そう阿求に言われて、依姫は一体何事かと首を傾げた。
「大した事じゃありませんよ。幻想郷縁起にあなたの事も記したいから、話を伺ってもよろしいかという事なのですが」
「ええ、構いませんよ」
「恩にきります」
 二人はそう言葉を交わし合うと、依姫は阿求に自分の事をあらかた話していったのだった。

◇ ◇ ◇

「う〜ん……」
 一頻り依姫から話を聞いた阿求は何かを思うように唸っていた。
「いかがなさいましたか?」
 一通り話が終わった依姫は、その阿求の様子に一体どうしたのかと思って聞いた。
「依姫さん……あなたって」
「はい」
 阿求に言われて、依姫は次の彼女の言葉を待った。
「あなたって、やはり『チート』ですね」
「そういう事言いますか、しかも何ですかそういう言葉は?」
 身も蓋もない阿求の発言に、依姫は頭を抱えてしまった。
「まさか、幻想郷縁起にそのような記載をしはしませんよね?」
 依姫は念を押す形でそう言った。自分の身の安泰を気にしつつ。
 だが、そこで勇美から無慈悲な言葉を掛けられる事になる。
「依姫さん、もう手遅れかも知れませんよ」
「何ですって?」
 思わず上擦った声を出してしまう依姫。
「この幻想郷縁起って、完全に客観的ではなくて、阿求さんの主観が割りと入ってるんですよね〜、だから今回も……」
「……」
 依姫は言葉を失ってしまう。──客観的な情報が必要な媒体に対して、そのような心構えでいいのかと。
「まあ、全くのでたらめが書かれたりはしませんけど」
「それでも問題よ」
 依姫は尚も頭を抱えながら呻いた。
 そして、そういう事例を含めたり、幻想郷の妖怪の驚異は今ではかなり少なくなり妖怪退治の知識はそこまで日常生活で要さなくなっている事から、幻想郷縁起は今では面白おかしい読み物になっている事も勇美は依姫に説明した。
「……」
 そこまで勇美に説明されて、依姫は暫し思い耽っていたが、ここで口を開いた。
「まあ、今の幻想郷が平和である事は何よりね」
 それが、依姫が紡ぎ出した答えであった。
「ですよね、私もそう思います」
 勇美もそれに同意した。
 彼女もまた、それを確信していたのだ。気を付けないとたまに妖怪に襲われる事はあれど、外の世界の人間達のようにいがみ合ったり戦争したり等という事はしていないからだ。
「それに、そんな若い身でありながらよく精進していますね」
 その依姫の指摘を受けて、阿求は「それはちょっと違うんですよね〜」とのたまったのだ。
「どういう事ですか?」
 依姫は疑問を口にする。
「『若い』って表現は少し違うって事ですよ」
 そう言ってから阿求は自分の生い立ちを説明した。
 自分達稗田家は短命の代わりに初代の阿礼から幻想郷縁起を書き続ける為に
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