第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第13話 人里の守護者との再会
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邸に向かった時は門番に差し止められて揉めていた時があったのだ。あの時自分と豊姫がいなければ事は捩れていたに違いないであろう。
つまり、勇美のような一般人が重役にそう易々と会う事が出来るのかという懸念が依姫には生まれていたのだった。
そんな依姫をよそに勇美は屋敷の前まで来ると声を掛けたのだった。
「すみませ〜ん、慧音さんいますか?」
「うわあ……! 何やっているんですか勇美!」
「うわあ」等という身も蓋もないような叫び声をあげてしまったのを心の中でかすかに後悔しつつも、依姫は勇美の行動を咎めたのだ。
「何って? 慧音さんに会うために決まっているじゃないですか?」
「それは分かっているわ。私が言いたいのは、村の重役の人にそんな堂々とした態度で接していいのかって事よ!」
二人がそうやんややんやともめていた所で、屋敷の扉が開いたのだ。
「勇美ちゃんじゃない? お久しぶりね」
扉を開けてそう言葉を発したのは、茶髪のロングヘアーで和服を来た女性であった。
「お久しぶりです明菜さん」
「……」
そのやり取りを見ながら、依姫は呆気に取られていた。
──レイセンの時と違い、スムーズ過ぎる流れであったからだ。
そんな依姫の思惑をよそに、勇美は明菜と呼ばれた女性と話を進めていった。
「何の御用かしら、勇美ちゃん?」
「明菜さん、慧音さんに会いに来たんですが、いますか?」
そう勇美は明菜に尋ねた。その間に依姫が入り込んでくる。
「貴方、重役とそんな気軽に接する事が出来るなんてどういう事?」
「そう言われてもですね〜、慧音さんとは接しやすい仲にいつの間にかなっていたんですよ」
「そう……」
勇美に言われ、もはや依姫はそれ以上の詮索をするのを放棄したようであった。
「ええ、いますよ。ただ……」
そこに再び明菜が話し始めた。
「どうかしたんですか?」
「ちょっと今、お客さんが来ていらしてね。それで勇美ちゃんに会わせるのはどうかって思っているのよ」
「お客さんですか」
そう勇美は反復し、考える。慧音に客人が来ているのなら、それを邪魔してはいけないだろうと。
「分かりました。時間を空けてまた来ます」
「はい、それがいいと思うわ」
勇美の提案に、明菜も同意する。
「依姫さん、すみません。そういう訳ですから、しばらくしてからまたここに来ましょう」
「そういう事なら仕方ないわね」
そう返しながら依姫は考えを巡らせていた。寧ろ例えば自分にとって初めての人里を見て回るのに丁度いいのではなかろうかと。多少厚かましいかとは思いつつも勇美に案内役を務めてもらおうかという結論に達しようとしていた、その時。
「私に会いに来たのなら構わないぞ」
そう明菜の後ろから声がした。どこか中性的な声と喋りであった。
「慧音
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