第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第13話 人里の守護者との再会
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てのは他でもない、慧音の事だよ」
「つまり、どういう事なんですか?」
そこに勇美が入り込む。
「簡単な話さ、お前達が慧音に会いにいけばいいだけの話さ」
所謂『ドヤ顔』とでもいうような表情を浮かべて妹紅が言う。
「私達が……ですか?」
そう言って一瞬は迷う勇美であったが、すぐに爽やかな表情となっていった。
「そうですね、それが最良だと私も思います!」
勇美は極めて明るく妹紅の考えに同意したのだった。
それは、勇美が慧音に恩がある事に他ならなかったからである。
勇美が永遠亭に住む事になってから久しいが、幻想郷に迷い込んだ勇美に最初に住む場所を与えてくれたのは言うまでもなく慧音なのだから。
その事を勇美は忘れてはいなかった。今までお世話になった恩人にいつ顔を再びだそうかと思っていた所であった。
それが今回の件でいい機会を得られたと言えよう。妹紅がその事を見透かしていた節もあるかも知れない。
「そうね、勇美がお世話になっていた者には私も顔を見せておくのが礼儀というものですね」
依姫も妹紅の提案に同意する形となった。
「決まりのようだね」
妹紅は自分の思うように事を進ませるのに成功して、大変満足気のようであった。
だが、勇美はそこに引っ掛かりを感じたのだ。それを言葉にする。
「でも、妹紅さんが直接人里に行って慧音さんに会えばいいんじゃないですか?」
勇美のその気持ちは当然の摂理といえるだろう。自分が大切な人なら自分で様子を確かめるのが効率的にも道徳的にも理にかなっているのではないか。
だが、妹紅は首を横に振った。
「そうしたいのは山々だけどね、私が何たるか……忘れていないかい?」
「あっ……」
妹紅のその言葉を聞いて勇美ははっとなってしまった。
そう──彼女、藤原妹紅は不老不死となった『蓬莱人』である事を失念してしまっていたのだ。
今はまだ人里の者に勘付かれてはいない。だが、何十年と歳を取らずに不変の存在である事を村人に悟られたら迫害されるのは目に見えているだろう。
だから、妹紅は必要以上に人里の者とは関わるのを避けているのである。
「ごめんなさい……」
勇美は自分のミスを認めて素直に謝った。
「何、失敗は誰にでもあるさ、気にする事はないよ」
「ありがとう妹紅さん……」
ありきたりな宥めの言葉ではあったが、妹紅のその気遣いが勇美は嬉しかった。妹紅が不老不死になって色々苦しんできただろう事を考えると尚の事であったのだ。
「それじゃあ、慧音に会いに行ってくれるかい?」
もう一度、妹紅は勇美達に確認をするのであった。
「はい!」
「私は約束を破るような事はしないわ」
それに対して、勇美と依姫は快く返した。
◇ ◇ ◇
そして、勇美にとっては永遠亭に
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