第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第12話 背伸びの後に
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」
そう考えると自分のやった事の意味合いは変わってくるなと勇美は少し考えを改める気持ちとなった。
「それに、貴方にはそろそろ少しハードルの高い勝負をして欲しかったってのもあるわ」
「あ……」
そう言われて勇美ははっとなった。要は勇美の成長の事を考えてやってくれた事であった。方法はやや乱暴ではあったが。
そして勇美は胸を手に当てて思い返してみる。予め妹紅と輝夜が不死身だと知っていたら、輝夜と渡り合うような存在に自分は敢えて挑もうとは思っていなかったであろうと。
「依姫さん、ありがとうございました……」
そういう結論に至った勇美は、心から依姫に礼を言うのだった。
そんな二人のやり取りの中に妹紅が入ってきた。
「そもそも、私はもう輝夜とは殺し合いをしてないんだよねぇ〜」
その発言がされた瞬間、時間が止まった。妹紅は炎の使い手だというのに、真逆の『フリーズ』を引き起こしたのだった。
「え、今なんて……」
「だから、もう私は輝夜と殺し合いをしてないって言ったのさ」
呆気に取られながらも何とか言葉を紡ぎ出した勇美に対して、妹紅はあっけらかんと答えた。
「依姫さん、聞いてないですよ。そもそも妹紅さんは殺し合いすらしてないってどういう事ですか?」
「ごめんなさい、さすがにこれは想定外でした。もっと情報を集めておくべきでしたね」
勇美の突っ込みに依姫は素直に謝る。依姫とてこの事は知り得なかったようだ。
「そういや鈴仙さん、言ってたっけ……」
勇美はぼやきながら思い返す。彼女が竹林に住み、輝夜と関係を持ちながらも彼女と永遠亭には危害を加えないだろう者がいると言っていた事を。どうやらそれが妹紅だったようである。
「いえ、依姫さん。私も注意不足でした」
勇美も自分にも非があると認めて謝った。
「まあ、間違いは誰にでもあるから、気にしない事だよ」
その妹紅の発言を受け、勇美と依姫は呼吸を合わせて決心をした。
「いえ、この場合妹紅さんが一番タチ悪いですよ」
「ですね」
そう息を合わせて突っ込みを入れつつも、二人は食事を頂いたお礼を言って妹紅宅を後にするのだった。
◇ ◇ ◇
そして、永遠亭の休憩室。そこでお茶をしながら話をする勇美と輝夜の姿があった。
「馬鹿ねぇ〜、私の為に体を張るなんて。もう私は妹紅とは殺し合いをしてないってのに……」
「あはは……」
輝夜に痛い所を指摘され、勇美は苦笑いを返すしかなかった。
「でも……」
手痛い突っ込みを勇美に入れていた輝夜は、そこで流れを変えた。
「輝夜様?」
場の空気が変わった事に、勇美はどうしたのかと頭に疑問符を浮かべる。
「何はともあれ、私の為にやってくれたんだものね。『ありがとう』」
昔、求婚者達をたぶらかした経験がある輝夜でも
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