第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第11話 魁! 黒銀勇美VS藤原妹紅-不死鳥編-:後編
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なっていたマックスは分解され、金属の神と火の神の力を受けて新たな姿へと変貌していく。
そして出来た姿は、鋭いくちばしに荘厳な翼と、それを金属で作り上げた機械の鳥であった。体色は目に焼き付くような橙色である。
「行きなさい、【機翼「メタルフェニックス」!】
勇美がスペル名を宣言すると、その機械の鳥『メタルフェニックス』は勇ましくいなないた。
すると彼の体から、妹紅のように激しい炎と熱が放出され纏わり付いたのだった。
続いて立派な爪で地を蹴り、炎を纏いながら妹紅の放つ爆炎の道に突っ込んでいった。
「真正面から来るか。いいじゃないか、力比べだ!」
それに対して妹紅も意気揚々と迎撃態勢となる。
メタルフェニックスの進路で次々と炎が爆ぜる。その中を彼は物怖じせずに突き進んでいったのだ。
もちろん無傷とはいかなかった。爆発をもらい、所々その機械の体にひびが入っていったのである。
「うう……」
当然彼の本体である勇美にもダメージがもたらされる。だが……。
「負けませんよぉーーーー!!」
気合いとか根性とかいう精神論は母親が強制してきた中で育ったために好きではなかった。
だが、妹紅との最後の勝負は小細工は通用しないと勇美は踏んでいたため、妹紅に敬意を示す意味でも精神でぶつかる方法に出たのだった。
そして、機械の不死鳥は竹林の不死鳥の放つ灼熱の小宇宙の中を突き進むシャトル機さながらの風貌を醸し出していったのだ。
ピキ……ピキ……。メタルフェニックスは軋み割れる音を出しながらもひたすら主の意志に応えるかのようにひたむきに突っ切っていった。
その苛烈な宇宙旅行も幕を迎える事になる。ひとしきり機械の不死鳥が突き進むと、これまでにない盛大な爆発が起こったのだった。
◇ ◇ ◇
迷いの竹林内で起こった派手な爆発。それによって巻き起こった大規模な土煙も徐々に収まる傾向にあった。
そして晴れて来る視界……。そこにあったのは。
「はあ……はあ……」
片膝をついて満身創痍の短い丈の黒い和服の少女、勇美。もう彼女はこれ以上戦う事は出来ないだろう。
「……」
そして無言で倒れている白髪の長髪の少女、妹紅がいた。
つまり、勝負の行方は。
「勇美、どうやら貴方の勝ちよ」
終始二人の勝負を見守ってきた依姫が審判を下した。妹紅が意識を失っている以上、逆に意識を保っている勇美の勝利という事になるだろう。
すなわち、勇美はややハードルの高かった相手に打ち勝ったという事であった。
「あはは……やった、勝った……」
息も絶え絶えになりながら勇美は呟くと、彼女も意識を手放し深い夢の中へと入り込んでいくのだった。
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