第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第10話 魁! 黒銀勇美VS藤原妹紅-不死鳥編-:前編
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
そんな不毛な鬼ごっこを強いられていた勇美は段々と疲弊していったのだ。
当然だろう。勇美は生身の人間なのに対して、相手は生物ですらないレーザーだったのだから。
もう逃げられない。そう思って勇美は足を止めてしまった。これでダメージは免れないだろう、余り痛くなければいいなと消極的な事を思いながら。
「あれ……?」
身構えながら勇美は異変に気付いた。いつまで経っても体に痛みが走らなかったからだ。
何事かと目を凝らして見ると、妹紅の手から照射されていたレーザーが収まっていたのだ。
「あれ? どうしたんだろう?」
勇美は首を傾げるが、
「何だか分からないけど、これはチャンスかも!」
そう意気込んで勇美は神に呼び掛ける。
「天津甕星様、私に力を!」
言って勇美は右手を前に突き出すと、そこに銃が顕現を始めた。
そして、その銃を掴むと勇美は攻撃の為に妹紅との距離を開けるべく後ろに下がったのだ。
すると、妹紅の手から再びレーザーが照射されたのだ。それを見て勇美は避けようと更に後ろに下がろうとした。
「!!」
思わず息を飲む勇美。後ろに下がろうとしたのだが、彼女の背後には竹が差し迫っていて、それが叶わなかったのだ。
これまでか。そう勇美が思った。だが、レーザーの発射は再びなりを潜めたのだ。
「あれ、まただ……」
勇美は助かったと思うと同時に再び首を傾げた。
どういう事だろう。相手が足を止めた時なんて、攻め入る絶好の機会だというのに。
そう訝った勇美だが、ある仮説に行き当たった。
(もしかして、攻撃しなかったんじゃなくて、出来なかったんじゃ……?)
そう勇美は思い、それを確認すべく行動に移した。
「【星弾「プレアデスブレット」】!」
彼女はスペルカード宣言をして、自作の銃の引き金を引いたのだ──今度は足を動かさずその場で。
「ちっ!」
それに対して今まで余裕の態度だった妹紅は舌打ちをした。そして彼女に星形の弾の群れは襲い掛かった。弾の一つ一つは妹紅に着弾すると次々に小さな爆ぜを生み出していったのだ。
「くぅっ……」
勇美の攻撃を受け、妹紅は苦悶の表情を浮かべた。
そして、その瞬間勇美は確信したのだ。
「分かりましたよ妹紅さん、そのレーザーは相手が移動してる時だけ発射されるんですね」
「ご名答だよ、さすがだね」
勇美の答えに妹紅は正解だという意を示したのだ。
『正直者の死』。それは正に正直に攻撃を避けようとする者に痛手を負わせる為の、一風変わったスペルだったのだ。
「攻撃の性質は読んだよ。つまり移動しなければこっちから攻撃し放題って事だね」
勇美は勢いづいて銃口を再び妹紅に向けた。このまま一気に攻め倒してしまおうと踏んだのだ。
「残念、その答えはハズレだよ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ