第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第10話 魁! 黒銀勇美VS藤原妹紅-不死鳥編-:前編
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「ああ、熱いよ」
「えっ?」
だが答えは予想していたものとは違っていた。妹紅に言われて思わず勇美は上ずった声を出してしまう。
「驚く事はないさ、スペル名に『自滅』ってあったじゃないか」
「自分の身を削るスペルがあるなんて……」
勇美は呆気に取られてしまった。
「そこまでしますか」
「ああ、自分の不利な状況じゃ四の五の言ってられないからね。そう思って作ったスペルさ。さあ、行くよ!」
妹紅がそう言うと、彼女の周りの空気が渦を巻き始めた。そして激しい風の奔流が起こると、それに妹紅の纏った炎が絡め取られ火炎の嵐となって辺りをのたうち回ったのだった。
「!!」
それは雨風を吹き飛ばし、更に勇美が作り上げた『ガン降ラスター』をも巻き込み焼き付けたのだ。
そして太陽のように光と熱を放ちながら、猛火に包まれたロボットは溶けてしまった。
「うっ!」
自分の分身を溶鉄にされた事によりダメージが自身にフィードバックされる勇美。
「これでダメージはおあいこのようだね」
誇らしげに言う妹紅。彼女もまた服が焦げ、痛々しい様相となっていたのだ。
「そのようですね」
対する勇美も、呼吸を乱していささか辛そうだ。
「そして、これで振り出しに戻った訳だな」
「はい」
妹紅に言われて勇美は歯噛みしながら返した。これで、炎を使う彼女に対して雨を用いるという完璧に思えた戦法は通用しないなと思いながら。
「では、次は妹紅さんから仕掛けて下さい」
「ん? そうか? いい心構えだな」
勇美に薦められて、妹紅は感心して言った。
だが、勇美とて譲歩している訳ではなかったのだ。先程妹紅の攻撃で雨を無効にされたように何が起こるか分からない事を考慮して、相手の出方を見計らっているのだ。
「じゃあ、遠慮なくやらせてもらうよ!」
そう言って妹紅はまた新たなるスペルカードを取り出す。
「【滅罪「正直者の死」】」
そしてスペルを宣言すると、右手を前に出すと、そこにエネルギーが集まっていったのだ。
「来る!」
身構える勇美の言う通り、妹紅のその手からレーザーが放たれたのだ。
それを見た勇美は避けなければと思いレーザーをかわすべく体を動かしたのだ。
「逃がしはしないよ!」
そんな勇美に対して妹紅が言うと同時に、レーザーの軌道が変わった。
「ええっ? 追尾レーザー!?」
そう、勇美の指摘するように、そのレーザーは勇美を狙って軌道を変えたのだ。
「うわ〜、そんなのずるいよ〜」
勇美は慌てふためきながらレーザーから逃げるように走り始めた。
「まあ恨みなさんな。これも立派なスペルだよ」
そんな勇美を面白おかしそうに俯瞰する妹紅。そしてその主の心持ちに応えるかのように意気揚々と勇美を追い回すレーザー。
「はあ……はあ……
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