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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第10話 魁! 黒銀勇美VS藤原妹紅-不死鳥編-:前編
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ね」
「?」
 そう勇美に言われて訝る妹紅に対して、勇美は華麗に指をパッチンと鳴ら、
「……」
 せなかった。
「ううう……、指が鳴らない……」
「それは出来る人と出来ない人の違いは体質から来るものだから、無理にやらない方がいいよ」
 妹紅は勇美を宥めつつも、何で敵のフォローを自分はやっているんだろうと、何だか虚脱感に襲われていた。
「うん、そうだね、無理はしない事にするよ。じゃあ、気を取り直して」
 勇美は言って一呼吸置き、
「【降符「押し寄せて来る激しい雨」】!!」
 スペル宣言をし、『ガン降ラスター』に指令を送ったのだった。
「そのスペル名も何か駄目だ〜〜!」
 妹紅は首をぶんぶんと横に振って、必死に抗議した。日の出を冠する会社のみならず、どこぞの音楽団体の事も怖いぞと戦慄しながら。
 しかし、そういう突っ込みをしている余裕は妹紅はなくなってくるのだった。
『ガン降ラスター』はさした傘をお洒落にくるりと回すと、妹紅の周りの空気が変化したのだ。
「!!」
 妹紅が気付いた時には、ザァァーと激しい水音が辺りに響き、彼女にバケツをひっくり返したような雨が降り掛かっていたのだった。
「これは……」
「火には水、これ常識でしょ♪」
 驚愕する妹紅に対して、勇美は得意気に言ってのけた。
 その彼女の主張通りに、妹紅が纏った炎は段々と弱まっていっていたのだ。
「やるわね……」
 思わず歯噛みする妹紅。
「どんなもんですか♪」
 その様子を見て、勇美はなおもふんぞり返って調子に乗る。
「確かに完璧な理屈だよ、でも……」
「……?」
 妹紅の雰囲気が変わった事に、勇美は何事かと目を見開いた。
「私とてこういう状況で戦った事は一度や二度じゃないんだよ!」
 妹紅はそう言うと新たなスペルカードを取り出す。
「【焔符「自滅火焔大旋風」】!!」
 そしてその符に記されたスペル名を高らかに宣言したのだ。
 すると、弱まっていた妹紅の炎が再び燃え盛ってきたのである。
「ええっ!?」
 今度は勇美が驚く番であった。
「私の炎をなめてもらっちゃ困るよ」
「成る程、無能の烙印を押された大佐の人とは違うって事ですね」
「だから、そういう話はやめようよ」
 炎の勢いを上げつつも、妹紅は首を横に振った。それと同時に、烙印が原因で寧ろその大佐は女性人気が上がったというのが世の中おかしいと嘆きながらも。
「無駄話はさておき、炎の量は十分に集まってきたよ」
 そういう妹紅は、炎に包まれて走るスタントマンの如き状況であった。『火だるま』という表現がしっくり来るだろう。
「すごい炎ですね。でも、妹紅さんもそれで熱くはないんですか?」
 勇美は疑問に思った事を口にした。でも、答えは決まっているだろうとは思いながらも。

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