第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第10話 魁! 黒銀勇美VS藤原妹紅-不死鳥編-:前編
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勇美(と綿月姉妹)が『新生』してから一週間が経っていた。今、永遠亭の縁側で勇美とメディスンが仲良くお茶を飲みながら話をしていた。
「勇美、思い切ったイメチェンしてみたものね」
「そうでしょう、そうでしょう♪」
生足を露出したミニ丈の和服姿に豹変した勇美に、未だに意表を付かれているメディスンは、素直に思った感想を口にし、それに対して勇美はどうだと言わんばかりのふてぶてしい態度を取ってみせていた。
「でも、見た目だけで終わったらいけないと私は思うんだよね……」
「えっ?」
先程までとはうって変わってしんみりと語り始める勇美に、またもメディスンは面を喰らってしまった。
「思い切ったにしては、地に足を付けてるんだね」
メディスンは感心したように言った。
「だって、『復讐』は慎重にやらないといけないからね」
「復讐?」
ここで自分にも身近な概念の言葉を出されて、またもメディスンは驚く。
「そう、復讐だよ」
そう言って勇美は語り始めた。自分の母親とその周りの人間に所有物として扱われた事に対する復讐だと。
だが、やられた事と同じ事をする復讐は御法度だとローマ法王は言っている事である。
だから、勇美は母親達から受けた仕打ちとは別の道を歩む事による復讐を決意したのだ。
「それが、依姫さんの元で修行を積んで、そして幻想郷と深く関わって行くっていうのを私の『復讐』にしようと思っているんだ」
「勇美……」
それをメディスンは胸の内がむずかゆくなるような心持ちで聞いていた。そんな勇美に比べて、自分はなんて狭い考えだったのかと。
鈴蘭畑に捨てられた事に対する人形解放宣言。いくら自分以外の人形の為にも聞こえても、結局は自分だけの為であり、人形を作るのも人間だという都合の悪い事実は棚上げするという卑怯でしかない理論だったと今メディスンは思うのだった。
「勇美、ありがとうね。あんたを見てたら自分の小ささがわかったようよ」
「いや、私は大した事言ってないし、第一まだ始まったばかりだから……」
いくら立派な目標を掲げようとも、掲げるだけでは意味がないのだと勇美は首を横に振った。
「メディスンちゃんも、人形解放以外の復讐が見つかるといいね」
「あ、うん、ありがと……」
先程からメディスンは勇美にペースを掴まれてばかりだった。復讐という言葉は良い響きがないものだから『何々以外の復讐』等という発言はそう簡単には出てこないものだからだ。
「ところでメディスンちゃん……」
「何?」
勇美に言葉を返すメディスンに対して、勇美は引きつった笑みを浮かべていた。
「あなたがお茶を飲むのは無理があるみたいだと思うよ……」
勇美がそう指摘するメディスンはというと、見事に球体関節から飲んだお茶が漏れ出していたのだった。
「あんたを
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