ターン25 熱血指導、大熱血
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リンビートルうぅ?」
あまりにも予想外のカード名に、素っ頓狂な声を出す夕顔。聞いたことのないカード、だからではない。むしろその逆であり、それはデュエルモンスターズというカードゲームの中でもその黎明期から存在する、由緒正しい太古の儀式モンスターの1体の名だ。
しかしそれは、有り体に言ってしまえば現代のカードパワー相手には分が悪いと評せざるを得ない。特別なコンボや専用サポートのあるわけでもない、時代の影にひっそりと隠れつつあったカード。裏を返せば、おカードを選んでデッキに入れるだけの理由があるということだ。最初の意表を突かれた驚きが少し冷めると、警戒心がより一層強くなる。
「レベル2の増殖するG、同じくレベル2のラーバモス、そしてレベル4の地雷蜘蛛。この3体を手札からリリースし、儀式召喚」
「増Gと地雷蜘蛛はまだしも、今度はラーバモスか?ったく、何考えてんだかわかんねえな」
ジャベリンビートル 攻2450
憎まれ口とは裏腹に、その表情は険しい。この作業の最終地点はどこなのか、その狙いは何なのか、なぜ朝顔はこのデッキに敗北したのか……いずれの疑問にも答えは見つからず、何も見えてこないからだ。
「手札からグレート・モスを捨て、使神官−アスカトルの効果を発動。このターンにシンクロモンスターしかエクストラデッキから特殊召喚不可となる代わりにこのカードを守備表示で特殊召喚し、さらにデッキからチューナーモンスター、赤蟻アスカトルを特殊召喚する」
使神官−アスカトル 守1500
赤蟻アスカトル 守1300
「アスカトル……まさか、テメエ!」
次いで繰り出されたモンスターを呆然と見つめていた夕顔が、何かに気づいたように声を荒げる。それを見た蛇ノ目はただ、やっと気が付いたかと言わんばかりに口の端を歪めて笑った。
「ああ、その通り。これはあの男の……朝顔のカードだよ。敗者にはもったいないカードだったんでな」
「この野郎、朝顔さんを病院送りにしただけじゃねえ、そのカードまで盗みやがっただと……?ふざけんじゃねえ、デュエリストのデッキがどれだけ大事なもんか、わかっててやってんのか!?」
その時不可思議なことが起こり、間近にそれを見ていた少女は息を呑んだ。いまだ燃えている夕顔の右腕の炎が、その叫びと共に突然その勢いを増して膨れ上がったのだ。
それはあるいは、折よく吹いた風によって酸素が供給されたことによる偶然の産物だったのかもしれない。しかし少女にはまるで、その炎を彼の右腕にもたらしたアルティメットレーナーが、彼の怒りの爆発に呼応してその火力を跳ね上げたかのように見えた。かつて清明から聞いたカードの精霊の話や、ついさっき夕顔本人が口にしていたデッキが応えてくれた、との言葉がその脳裏に蘇る。
「モ
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