ターン25 熱血指導、大熱血
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」
「何!?」
次に驚愕の叫びを発したのは、マルチプライヤーの効果も当然頭の中にある糸巻だった。ファイナルシグマが手にした剣から放つ炎の勢いが倍増し、その色も従来の赤から真紅へ、そしてその先の純白へと変化していく。
「マルチプライヤーが墓地に送られた場合、エクストラモンスターゾーンに存在するサイバース族1体を対象とすることでその攻撃力をこのターンの間のみ倍にする。そしてファイナルシグマは、ただ斬機カードの効果のみは受け付ける」
炎斬機ファイナルシグマ 攻3000→6000
「おい、洒落にならねえぞこりゃ……!」
彼女は別に、このオーバーキルそのものに対して怒りを覚えているわけではない。あくまで「魅せ」の一環として、別に使わずとも出せるモンスターや効果をわざわざ使ってより派手に勝負を決めるという考えは彼女にも元プロとして理解できる。あまり敗者への死体蹴りのような真似になるようなことを推奨しようとは思わないが、そこはあくまで適材適所。マナー違反とならない範疇で正しく使うことにより、観客が一層盛り上がるのもまた事実だからだ。
この場合の問題は、このデュエルのダメージが実体化するという点。ファイナルシグマの効果も合わせると、発生するダメージは12000。新型「BV」の力を知る彼女にさえ、いや、むしろその痛みを身をもって知っている彼女だからこそ、その規格外のダメージがどれほどの威力を発揮するのかは想像もつかない。
しかし同時に、ようやく腑に落ちたこともあった。どうして朝顔やロベルトといったこの十数年間を裏の世界で生き抜いてきた猛者たちが、いまだ誰一人目覚めずに集中治療室で生死の境を彷徨うほどの手ひどい敗北を喫したのか。襲撃事件の被害者たちに共通する、目を背けたくなるほどの火傷痕。ライフを守りダメージを抑えるためのあらゆる工夫がまるで通用しない圧倒的なダメージをもって放たれる炎の刃によって、全ての疑問は繋がった。
「……すまねえ、朝顔さん……!」
「案ずるな、今すぐにでも奴の隣に送ってやろう。その温い熱血とやらを、不可逆なほどに破壊しつくしてからな。バトル、ファイナルシグマでアルティメットレーナーに攻撃。Quod Erat Demonstrandum!」
見るからに限界寸前のアルティメットレーナーがそれでもなお立ちあがり、6つの拳を握りしめて雄たけびと共にファイナルシグマとの一騎打ちに挑む。
しかし、勝負の結果はすでに見えていた。もはや立っているだけで奇跡なほどの限界寸前、ただ精神力のみで振るわれた右腕中段の拳を最小限の体さばきだけであっさりと躱したファイナルシグマの白熱する大剣が、大上段からの一撃でアルティメットレーナーの体を両腕上段のガードごとその脳天から両断する。一拍遅れ
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