ターン25 熱血指導、大熱血
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代から続くその癖も直さずによく公僕が務まるものだのう。それにまったく、お主もお主じゃぞ」
あっさりと言い捨てると、今度は起こしたばかりの少女へとその矛先を向ける。
「私……ですか?」
「うむ。お主は勝者、それもこの『十六夜の決闘龍会』に正々堂々と戦い勝利を収めたほどのものじゃ。それが、こんな乳ごときに恐れをなしておってはいかんのう。もっと胸を張り、見せつけてやるがよい。こやつのようにただ下品に大きければいいというものでは……もとい、実力のある者が舞台に上がって何の不都合があるのか、とな」
冗談交じりの言葉をそこで一度切り、意味深な流し目を送り付ける。その目は言葉よりもずっと雄弁に、お主が何か隠していることは承知の上じゃぞ、と告げていた。視線と視線がかち合って、両者の間で見えない火花を散らす……しかし、それもほんのわずかな間だった。どうあっても外れようとしない笹竜胆の眼力に観念し、糸巻が不服そうに低く唸る。その事実上の降参宣言を最後に、ふっと彼女の肩の力が抜けた。
そして心配そうに見つめる少女へと笑い返したその笑顔は、少女にとってはすっかり見慣れた、ぶっきらぼうだが優しく温かいものに戻っていた。
「……わかったよ、これだからアンタは苦手なんだ。八卦ちゃんも悪かったな、アタシも別にあの飛び入り参加が悪いっつって怒ってるわけじゃないさ。ただ、今回はちょっと時期が悪くてな」
「おおかたまた面倒事でも引っ張ってきたのであろう?せっかくじゃ、わらわたちにも一枚噛ませてもらおうぞ。何を企んで居るかは知らぬが、ここまで来てはもはや無関係ではあるまいて」
「わーった、わーったよ。遊野、アンタは司会やっといてくれ。たった今聞かせたばっかの話だからな、別にアンタはここにいなくても大丈夫だろ」
「はいはい」
肩をすくめ、するりとその場を後にする。背後で糸巻が声を潜めて先ほど自分にした話を繰り返しだしたのを感じつつ、ならば少しでもそこに観客の視線を向けさせないようにするのが最善かと頬を張って気合を入れ直す。
「はーい、皆様お待たせいたしました!それではいよいよ第三試合、これより開幕です!」
素早く客席を見渡し、反応を確かめる。最初の時より、やや反応が鈍ってきているだろうか。単純に連戦も3回目ということで見ているだけの客側にも疲れが出てきているというのもあるだろうが、今回の対戦カードもそれに拍車をかけている、そう彼は判断した。
なにせこれまでの試合と違い、この対戦カードときたら両者とも圧倒的に華というものがない。なまじこれまでがそれぞれタイプの違う美女や美少女3人と上品な老紳士とかなり顔面偏差値の高い組み合わせばかり続いてきていたのに対しかたや目つきの悪い、べったりとした前髪を額に垂らす全体的に陰気な男。かたや熱血と無意
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