第八十四話 安芸家との戦その十四
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「六万とは」
「しかも織田家だけで五万とは」
「それだけの数を動かされるとは」
「美濃を手に入れた動きも鮮やかというが」
それに止まらずとというのだ。
「もうじゃ」
「上洛に向かわれるとは」
「凄いですな」
「そこまでされるとは」
「それでわしの考えじゃが」
それはどうかとだ、元親は話した。
「上洛のな」
「それは、ですか」
「兄上のお考えは」
「そのことは」
「織田殿が先に行かれて勝てぬ様ならな」
それならというのだ。
「諦める、元々わしは上洛を目指しておるが」
「天下を望まれていませぬな」
「四国の統一が第一で」
「最低でも土佐一国ですな」
「やはりまずは土佐じゃ」
この国だというのだ。
「この国を一つにしてじゃ」
「治められればですな」
「それでまずはよしですな」
「兄上のお考えは」
「四国の統一も目指しておるが」
それでもというのだ。
「まずはじゃ」
「土佐ですな」
「何といっても」
「この国がどうか、ですな」
「そうじゃ、それを第一と考えておってな」
それ故にというのだ。
「上洛は出来ぬならな」
「諦めてですな」
「四国ですな」
「この国をどうかですな」
「少なくとも土佐は一つにするが」
それでもというのだ。
「やはり四国は欲しいな」
「左様ですな」
「それではですな」
「我等としては」
「この度は」
「うむ、中村とどうするかは決まった」
一条家と、というのだ。
「大恩はあるがあちらのご本家ともお話をしてな」
「そしてですな」
「決まりましたな」
「全てが」
「一条殿は中村から去られぬ」
兼定、彼はというのだ。
「ならばな」
「それならばですな」
「我等は一条家のご本家からも言われましたし」
「それで」
「攻める、これより戦の用意に入る」
今確かな声で弟達に告げた。
「よいな」
「わかり申した」
「では我等もですな」
「出陣の用意にですな」
「入るのじゃ、七千の兵を出し」
兵の数も話した。
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