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戦国異伝供書
第八十四話 安芸家との戦その十三

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「何があろうともな」
「では戦の後はですな」
「都に戻って頂く」
「それで終わりですな」
「戦は」
「そうする」
 こう言うのだった。
「それでよいな」
「その様にお願いします」
「どうか一条様のお命はです」
「それだけはです」
「お助け下さい」
「例え何があろうとも」
「わかっておる」
 まさにというのだった。
「それはな」
「それを聞いて安心しました」
「ではですな」
「戦になれば」
「その時は」
「そなた達は先陣で戦に勝てばな」
 その時はというと。
「かつての領地をな」
「それをですな」
「我等のものに戻して頂く」
「左様ですな」
「そうじゃ」
 元親は彼等に静かな声で告げた。
「そのことを約束する」
「そうして頂けますか」
「ではです」
「戦になれば」
「その時は」
「頼むぞ、ただ戦にならずな」
 その場合についてもだ、元親は彼等に約束した。
「一条家が中村から去られてな」
「長曾我部家が入れば」
「その時はですか」
「我等は」
「その領地は戻る」
 その場合もというのだ。
「戦にならずともな」
「どちらでもですか」
「そうなりますか」
「我等は」
「伝来の土地が戻りますか」
「確実にな、では一条家のご本家と詰めの話をしよう」
 最後のそれをとだ、こう話してだった。
 元親は一条家の本家に中村の方に最後通告を出してもらった、やはり中村の方はそれを聞かずあくまで中村に残る。
 それを見て元親も決意した、だが。
 それよりもだ、元親は弟達に驚く顔で話した。
「今とてつもない話が入った」
「といいますと」
「何があったのでしょうか」
「一体」
「うむ、織田家が美濃を瞬く間に手に入れてな」
 信長、彼がというのだ。
「そして上洛もな」
「それもですか」
「入られるのですか」
「これから」
「その様じゃ、足利家の方を擁されてな」 
 そのうえでというのだ。
「既に五万、浅井家と徳川家の軍勢を入れて六万の大軍で美濃を発たれたという」
「六万ですか」
「とてつもない数ですな」
「四国全土の兵を合わせた位ではないですか」
「それはまた」
「とんでもない数ですな」
「桁が違いまする」
 弟達もその数には驚いて述べた。
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