第四章
[8]前話
「だからな」
「お義母さんとお義兄さんのことは偶然ね」
「保険金と慰謝料が入ったこともな」
このことで一家はかなりの収入を得たがというのだ。
「それもな」
「そうなのね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「ラブといるとな」
夫もラブを見て言った。
「自然と笑顔になって気持ちが明るくなってな」
「それでなのね」
「腰や頭のこともな」
そういったこともというのだ。
「よくなっているんだよ」
「そうなのね」
「病は気からでな、二人もな」
今度は父として娘達を見て話した、最初は一家でテレビを観ていたが何時しかラブだけが観ていて四人で話をしている。
「お袋がいなくなって兄貴が来なくなってラブがずっといる様になってな」
「それでなの」
「成績がよくなって明るくなったの?」
「家が相当に明るくなったからな」
ラブが家に来てというのだ。
「そうなったんだよ」
「そうなの」
「明るくなったからなの」
「家が明るいと自然に学校でも明るくなってな」
そしてというのだ。
「勉強も頑張れる様になったんだよ」
「そういうことなの」
「何でかって思ったら」
「ああ、けれどラブが来て皆明るくなってよくなったなら」
それならとだ、父はあらためて微笑んで話した。
「ラブは幸せを招いてくれている猫だな」
「そうね、この子が来て本当によかったわ」
妻も笑顔で応えた。
「じゃあこれからもね」
「ラブと一緒に暗そうな」
「ラブもそれでいいわね」
「ニャア」
ラブは妻の言葉に顔を向けた、そうして一声鳴いた。そのうえで一家の間に来ると四人で笑顔でその身体を撫でた。するとラブは気持ちよさそうに喉を鳴らした。すると一家は目を細めさせ自然と幸せを感じた。四人は確かに幸せの中にいた。
招き猫 完
2020・4・25
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