疾走編
第二十三話 兆候
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イエイツを呼んできてくれ。早速調査の計画立案にかかろう」
「了解しました」
くそっ、現金なもんだよ全く。恩を売れます、って言った途端目の色を変えやがって。
提督がヴァンフリートに向かうって言った時はシェルビー大佐も、スクリーンの向こうの分艦隊司令もあからさまに嫌がってたからな。
“フォロー頼むよ。ヴァンフリートに行こうって進言したの、俺なんだ”
オットー、お前の考えは正しいよ。俺達の艦隊は少数、地の利がないと戦えないんだ。動きづらいから中々入ってこない?当たり前だ!当たり前だから裏をかこうとするやつが出てくるんじゃないか。同盟軍がヴァンフリートに補給基地を作ろうとしたのなら、帝国だって似たような事を考えてもおかしくないって事だ。
「ウィンチェスター、入ります」
「どうした?」
「シェルビー大佐がお呼びです。ヴァンフリート星系の調査計画を作成すると」
「了解。五分後に行くよ、先に戻っててくれ」
「はっ」
イエイツ少佐は自室で執務している事が多い。艦隊の補給担当だからだ。
少佐が艦隊の各艦から上がってきた補給要望を取りまとめて書類にしてビュコック提督に提出する。提督はその書類にサインして経理部長に提出する。経理部長はその書類にサインして後方勤務本部に提出する。基本的に提督はサインするだけだから、イエイツ少佐の作った補給要望書がそのまま後方勤務本部に上がる事になる。この補給要望に齟齬やおかしな点があると、書類が突き返される上にビュコック提督が怒られるし、エル・ファシルに艦隊の補給物資が届くのが遅れる事になる事になるから、彼の仕事はかなり重要だ。といっても、集計作業の大半はコンピュータと司令部スタッフがやってくれるので、行動中はそこまで忙しい訳じゃないんだよな。
俺やシェルビー大佐も彼の部屋でコーヒーをいただく事がある。何しろ艦隊の補給の大元締だ、コーヒー豆もいいものが置いてある。羨ましい限りだ。
3月15日14:00 ヴァンフリート星系、ヴァンフリート[近傍、EFSF旗艦リオ・グランデ
アレクサンドル・ビュコック
オットー・バルクマンにヤマト・ウィンチェスター…。確かに優秀じゃ。特にウィンチェスター、あの若者はらしくないところがあるの。階級はともかく、士官学校卒業したばかりの若者には見えん。目の前の任務だけを考えていない、儂と話す時も先を見て話しておる。そつがない、と言うのともまた違う、抜け目がない、という表現も少し違う。そう、全てを知っている様に話す。知っている事を少しずつ小出しにするような…。いつまで見ておれるか分からんが、どこまで行くか見てみたいもんじゃ…。お、バルクマンが血相を変えておる。若者はああでなくてはならん…ん?何かあったか?
「なんじゃと?ガイドビーコン?」
「
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