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Saga3-Bアインハルトの苦悩〜Slight advance〜
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表情が思い浮かんだ。驚いてるような、悲しそうな、そんな表情をしてるような気がする。そしてそれはわたしも同じ。アインハルトさんが抱えてる悩みをこうしてハッキリ聞いて、泣きそうになっちゃってる。

『それは・・・出来ません。・・・離れたく、ありません。でも・・・』

『迷うか? まぁよかったよ、ヴィヴィオ達から離れると即答されたらどうしようかと思っていたからな。・・・今すぐに答えを見つけろとは言わない。ただ、アインハルトは独りじゃないと、独りで抱え込む必要もないと、それだけは解かっていてほしい』

『・・・はい。ところであの、ルシルさんに伺いたいことがあるんです。歴代のセインテストの方々の記憶とはどう向き合っているのでしょうか? 数千年分ともなればその人数もかなりのものはず。常人であれば・・・』

『精神が壊れる、か。そうだな。守りたい人を守れなかった、救いたい人を救えなかった。自身すらも喪い続けている。俺たちはそんな悲劇を繰り返してきているよ。そして、そんな何千年分の悪夢を見続ける』

『辛くはない・・・なんてことはないんですよね・・・?』

『当然。あの時はああすれば、この時はこうすれば、そんなIFを夢見ることは何度だってある。しかし、それはすでに過去の話。変えることは出来ない。だから現在を生きる俺は、その経験を活かすことしか出来ない。・・・さて、ここまで聞いてアインハルトは、俺に対して偉そうなことを言えないんじゃないか?とか思っているかもしれない』

『え・・・?』

『セインテストの悲願を果たす。それが俺たち対エグリゴリ兵器、初代のクローン・セインテストシリーズの宿命。俺はそれに人生を懸けている。それは過去に縛られていると言っても過言じゃない。ルシルさんも私と同じじゃないか、と思われても仕方ない。ただ、君とは決定的に違うものもある』

『同じではないんですか? 私はクラウスの、ルシルさんは歴代のセインテストの記憶、悲願を果たそうとしてます』

『いいや、違う。・・・俺たちは死んでも悲願を果たすように決められて生み出されている。そこに自身の意思というものがない。俺もエグリゴリを救済するためには何だってやるし、この命も懸ける。セインテストはそういうシステムなんだ。だが、アインハルトは自分の意思で決定しようとしている。だからこうして悩みも生まれるし、考え直すことも出来る。アインハルト。独りで抱え込むな。それだけは伝えておきたい』

『・・・はい』

ルシルさんは『時間を取らせたね。俺からは以上だよ』ってアインハルトさんに告げたら、『失礼します』と言ってルシルさんから離れていくアインハルトさんの足音が聞こえ始めた。

『みんな、聞いていたな? アインハルトの悩みは、シャルの家で語っていた悲願の成就という想いが、
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