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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga3-Bアインハルトの苦悩〜Slight advance〜
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シルさん側からの一方通行で、こっちの声は向こうには届かないみたい。

『君の悩みは、クラウスの記憶に起因している、でいいんだよな・・・?』

『・・・はい』

『前世の記憶か。・・・ファビアという子も、ジークリンデも、受け継いだ記憶や魔法で苦しんでいた。解かるよ。俺もそうだからな』

ルシルさんの言葉に、お菓子とジュースの載ったトレイを持ってきてくれたファビアさんが「あ・・・」小さく声を漏らした。ファビアさんも、カイラ・クロゼルグさんの記憶を持っていたことで、わたしやアインハルトさんに敵意を持って近付いてきた。だけど今はもうお友達だ。

『・・・フォルセティさんから伺っています。ルシルさんもその、歴代すべてのセインテストの記憶を持った・・・クローンであると』

ルシルさんから許可を貰ったフォルセティから聞かされたその話に、わたし達は驚いた。魔術やそれまで複製されてきたものや記憶、それが数千年分。それだけ受け継いできた記憶もすごい数になる。それを聞いてアインハルトさんは顔を蒼くしてた。

『ああ。・・・アインハルト。シャルの家でジークリンデに言っていた、クラウスの悲願を果たすまでは笑ってはいけない、という考えは今もそうなのか?』

『・・・無限書庫でエレミアの手記を読むことでクラウス達の過去に触れて、怖ろしくなり始めたんです。今の温もりや心強さに甘えて、そのまま沈み込んでしまいそうになるのが、過去のことは忘れて今を生きていいと言われるのが・・・。守れなかった人を、解かり合えないまま終ってしまった人を、今度こそこの手で必ず守り抜くと誓い、果たせるほどに強くなるという願いを、私は果たしたいんです』

『・・・クラウスの無念。ジークリンデも言っていたが、それは君が自分の人生を懸けてまで晴らす必要があるのか? 君は、自分を犠牲にしているつもりはなく、クラウスの悲願達成は自分のためでもある言っていた。俺の持つ記憶の中にはオーディンのものもある。クラウス本人の記憶を持つアインハルトよりは遠い存在だが、第三者だからこそ言えることもある。クラウスは子孫の君に、彼自身の苦悩を背負ってもらいたいとは思わないはずだ。彼に見た優しさを思えば、君が苦しむのを良しとしない。君なら理解できるだろう?』

『それは、そうですが・・・。本当は自分でも解かってはいるんです。クラウスの記憶に引っ張られているのだと。彼の性格から今の私のようなことを望んでいないのも・・・。ですが彼の抱いた無念や痛みを無かったことにしたくないんです。だから・・・』

『ヴィヴィオ達との関わりを捨てるか? 笑ってはいけない、楽しんではいけない。あの子たちと共に過ごすことは、その2つと付き合うことになるだろうからね』

声しか聞こえないモニター越しでもアインハルトさんの、今の
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