艦娘とスイーツと提督と・57
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お茶請けに、濃く淹れた紅茶を飲むのが本式だったりする。
「それより……『アレ』は書き上がったのか?響」
「あぁ、持ってきていて忘れてたよ。はいコレ」
響から手渡された紙の束をパラパラと捲る。そこには、響が巡った鎮守府で聴いたブラック鎮守府や各地の鎮守府の不正に関する噂がびっしりと書かれていた。
「手間をかけてすまんな」
「いいさ、司令官がやけに素直に大本営の言う事を聞くと思っていたら、出発前にあんな事を頼まれたからね。納得したよ」
そう、響が教官役として各地を回ると聞いた時、俺はある密命を響に託した。それは、各地の鎮守府にいる艦娘達に不正や酷い目に遭っていないか等の極秘の聞き取り調査だ。
「まぁ、信憑性は何とも言えん所だが……この中の半分でもビンゴなら助かるねぇ」
「何に使うんだい?そんなもの」
「決まってんだろ?ネタを売るもよし、交渉材料に使うもよし。使い道は幾らでもあらぁな」
「……やれやれ、顔に似合ってウチの司令官は極悪だね」
「あぁ、俺ぁ根っからの悪党だぜ?ってか、軍人やってて正義の味方気取りの奴の方がよっぽどイカれてると思うがな」
戦争はどんな理由があれやる物ではない。そこには大義も糞もない、ましてや正義なんてあるハズも無い。戦争に正義なんて言葉を持ち出してくる奴は、現実を見たくない阿呆さ。
「それに、聞き取り調査の時には私も美味しい思いをさせて貰ったからね。別に手間ではないさ」
「何?」
「報告書の最後のページ」
響に促され、ページを捲るとそこには、びっしりと領収書が貼られていた。飲み屋の。
「なんだこりゃ?」
「情報を引き出し易くする為に、飲みながら話を聞いたんだ。それは経費だろう?」
「あのなぁ……」
「よく言うじゃないか、チョコはお口の恋人。酒は心とお口の潤滑油ってね」
成る程、酒は心とお口の潤滑油か。飲めば口も軽くなるしな、だが……差しすぎると思わぬスリップを起こす。言い得て妙だな。
「だが、聞いた事ねぇぞそんな言葉」
「当たり前だよ、作ったのは私だもの」
「こいつ……」
響はそう言ってドヤ顔をすると、すまして紅茶を啜っていた。やれやれ、経理部に俺がどやされそうだ。
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