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曇天に哭く修羅
第二部
八方塞がり
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の長期戦は無駄ですよ。私の魔晄神氣は強力な割りに燃費が良いので。其方(そちら)を始末する前にエネルギーが底を突くことは無いでしょう」


その時だった。

クリスが立ち上がり武台に飛び込む。

そして紫闇を攻撃する人形達と戦い出す。


「レックス! あんた何で諦念に呑まれてんのよ! どうして自分を信じないの! これだけ強いのは努力を続けて信念を貫いたからでしょうが! 異能が最弱でも不屈の意思があんたを強くしたんじゃない!」


レックスはクリスに答えなかった。

淡々と人形を操作。

じわじわ二人を追い詰める。

6体の人形は一体の攻撃を躱しても狙い澄ましたように別の人形が奇襲し反撃してもレックスの読みと高速かつ精密な人形操作で回避したり、大盾の人形が攻撃を受け止めてしまう。

距離を置いても時間が戻され移動前の状況となり攻撃を浴びせられる。

どんな行動を取っても手詰まり。

八方塞がりの状況を作り出していた。

昔は異能に頼れず外装の複数召喚も制御が難しい為に扱えなかったレックスが魔術師ではなく人間としての力を積み重ねた結果が今の強さ。

それが伝わるような戦い方である。


紫闇とクリスは悲しかった。

かつてのレックスを知るクリス。

自分と同じだったと解る紫闇。

諦めを拒絶して誰よりも上へ行くことを願い、挫折を繰り返す地獄の道程を歩み続け、乗り越えてきたレックスを本当に尊敬する2人。

その表情を見たレックスは人形を止める。


「御二人の疑問に答えましょうか。なぜ私がこうなってしまったのか」


彼は髪の長い女剣士の人形を見た。


「外装の形状はそれを出した魔術師本人の精神を表すという説が有ります。……事実なんでしょうね。でなければこの外装はこんなにも私の『母』に似ている筈がない」

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