暁 〜小説投稿サイト〜
曇天に哭く修羅
第二部
急変
[1/2]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
エリザの【古神旧印/エルダーサイン】がクリスの左手に流れ込む。

これで刻印の完成度は6割に達した。

目を覚ましたエリザにクリスが声を掛ける。


「ねえエリザ。今までの罵声って私の成長を促す為だったの? あんたは表に出さないけど私の成長を願っていた。だから敢えて酷いことを言い続け私のやる気を高めたって思うのよね」

「お気楽な思考ね。あたしは只の悪役よ」


クリスはエリザの返事を鼻で笑う。


「ありがとう。姉さん」


クリスが手を差し伸べる。

エリザは頬を赤くしながら手を取った。

その時だ。

来賓席から悲鳴と銃声が聞こえる。

クリスはエリザを立ち上がらせると音の方を見て何かが来ることを感じ後ろに跳ぶ。

空から落ちてきたのは『独立型』の人形と合宿でクリスを襲った全身黒ずくめの刺客。

王冠と赤いマントを身に付けた人形はクリスの右腕に向かって剣を振り下ろす。

しかしそれは防がれた。

飛び込んできた紫闇によって。


「て、めぇ……。さっき俺が殺したろうが……。脛椎(けいつい)折ってんだぞ? てことは今の悲鳴、イギリスの首脳か。【古代旧神(エルダーワン)】と【魔神】がやられるわきゃねーし」


黙っていた刺客が言葉を発する。


「先程の動きを見た感じならクリスは人形の襲撃に対しても十分対応できそうでした。まさか彼女がここまで強くなっていようとは私の想像を超えていましたよ」


この声は《レックス・ディヴァイザー》


「どういうことッ!?」


エリザの怒声が響く。


「クリス暗殺の命を受けました。貴女に知られれば(ひそ)かに邪魔されてしまう。なのでエリザは蚊帳(かや)の外に置かせてもらいましたよ」


曰く、この場所に邪魔は入らない。

古代旧神にとってはサプライズ的な娯楽なので何者にも介入させないという。

邪魔するならイギリスの古代旧神ならびにイギリスの全貴族が敵に回ると思って良い。

魔神《白良々木眩(しららぎくらむ)》は今回のようなことを好まないので古代旧神を説得してくれるかもしれないが、もしそれでも駄目なら来賓席で両者が戦うことになるかもしれないのだ。


「もしかすると《イリアス・ヴァシレウス・グラディエ》は古代旧神を狙うかもしれませんが、この場で全力を出すことは無いでしょう」

「どういうつもりだレックス」


紫闇の心に怒気が(こも)る。


「私はクリスを愛している。これは唯一無二の誇り。けれど言いましたよね。英国貴族の運命を。古代旧神に逆らってもクリスは殺されてしまう。私などではどうにもならない。だからこの命令を受けた時に決めました。他の誰かに殺らせる位なら私の手
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ