第二章
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「ちょっといい?」
「どうしたの?」
「あんた最近どんどんメイクが薄くなって」
そしてというのだ。
「会社に着ていく服もね」
「質が落ちてるっていうのね」
「それユニクロでしょ」
更衣室で菜々緒に言う、見れば実際にだった。
菜々緒はラフなシャツとジーンズという恰好だが服はユニクロだ。それで夏菜子もこう言うのだった。
「あんまりと言えばね」
「もうお金はね」
「猫ちゃんに使ってるの」
「そうなのよ、携帯の待ち受け画像もね」
菜々緒が見せたそれはいうと。
白猫だった、見上げた目は真っ黒で白い身体が余計に映えている。
「この通りだし携帯に入れてる他の画像もね」
「猫ちゃんのものなの」
「ツイッターでもね」
「猫ちゃんのこと呟いて」
「そうなってるの」
「そうなのね」
「いや、お金はこの子に使って」
ユキにというのだ。
「こんな風になってるわ」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
ここでだ、菜々緒は。
夏菜子を見てそれで彼女に言った。
「あんたもね」
「私も?」
「最近メイクが薄くなって」
以前は派手なメイクだったので余計に目立った。それに以前はお洒落なファッションでブランドものも身に着けていたが。
ラフなズボンとブラウス姿の彼女にこうも言ったのだった。
「服も」
「ラフっていうの?」
「あんた前はもっとお洒落だったのに」
それがというのだ。
「随分質素になってない?」
「そ、そう?」
菜々緒のその指摘に夏菜子は戸惑った、それで言うのだった。
「気のせいでしょ」
「いや、私と同じ位ね」
「お金かけてないっていうの」
「若しかして」
菜々緒は即座に察して言った。
「あんたも」
「ね、猫ちゃんじゃないわよ」
夏菜子は慌てた口調で言い返した。
「私は」
「猫ちゃんじゃないって」
「犬よ」
非常にバツの悪そうな顔での言葉だった。
「私はね」
「そうだったの、そういえば最近私も帰り早いけれど」
猫の世話の為であるのは言うまでもない、会社の飲み会や合コンにも一切出なくなってしまっている。
「あんたもね」
「ちょっとね、私は実家暮らしだけれど」
「その実家になの」
「この子来てね」
夏菜子も携帯の画像を出した、そこには。
黒と白のシベリアンハスキーがいた、華奈子はその携帯の画像を見せつつそのうえでこう言うのだった。
「お父さんとお母さんが犬好きで保健所から引き取ったの」
「そうだったのね」
「これが賢くて愛嬌があって」
「あんたもなの」
「家じゃ私がメインで世話をしていて」
それでというのだ。
「ご飯もおもちゃもね」
「あんたが飼ってるの」
「そうしていたらね」
「私みたいになったのね」
「やれやれよ、
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