第一章
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それぞれ引き取って
真弓菜々緒は八条物産愛知支店に勤める二十八歳のOLである、薄茶色の細い癖のある髪の毛を後ろで束ね黒目がちの大きな瞳を持つ優し気な顔立ちの持ち主だ。背は一六〇程で特に太っても痩せてもいない。
その彼女が会社で同僚達に話していた。
「昨日猫拾ったのよ」
「えっ、そうなの」
「どんな猫ちゃんなの?」
「真っ白で」
まずは毛色のことから話した。
「とても小さいの。生まれてすぐだったみたいね」
「野良猫?」
「捨て猫なの?」
「首輪してなかったから」
だからだとだ、菜々緒は同僚達に答えた。
「多分ね」
「野良猫なのね」
「そうなのね」
「親とはぐれたかどうかはわからないけれど」
それでもという口調でさらに話した。
「放っておけないから」
「拾ってなのね」
「今お家にいるのね」
「何か凄く弱々しく頼られる感じで夜道で観られたから」
その猫にというのだ。
「ついつい拾ってね」
「家に置いて」
「これからはなのね」
「育ててるわ」
「そうなのね、まあね」
ここで菜々緒の同期の山本夏菜子が言ってきた、長い波がかった黒髪の怪我目立つ派手めな外見で年齢も彼女と同じである。その彼女が言うのだった。
「猫を保護することはいいことよ」
「あんたもそう思うのね」
菜々緒はその夏菜子に笑顔で応えた。
「猫を保護することはいいって」
「ええ、けれどね」
「けれど?」
「一旦猫飼うと大変だって言うわね」
夏菜子は菜々緒に笑ってこうも言った。
「もう生活が猫メインになって」
「そうなの?」
「そうよ、もうそれこそ結婚よりも」
それよりもというのだ。
「猫のことばかり考える様になるっていうわよ」
「そうなの」
「あんたも結婚したいでしょ」
「それはね」
菜々緒も否定せずに返した。
「思ってるわ」
「だったらまずいわよ」
こう菜々緒に言うのだった。
「猫ちゃん拾ったのは」
「ううん、けれどね」
「拾ったからにはなの」
「もうね、飼うって決めたから」
それでというのだ。
「やっていくわ」
「そうするのね」
「まあ結婚のことはわからないけれどね」
「正直頑張れとだけ言っておくわ」
夏菜子は微笑んで話した。
「そっちのことはね」
「それじゃあ」
「あと猫ちゃん見捨てたら駄目よ」
夏菜子はこう言うことも忘れなかった。
「そこは絶対だから」
「わかってるわ、それはね」
菜々緒は夏菜子のその言葉に真剣な顔で応えた、そしてだった。
実際に猫の世話は真剣にした、身体が真っ白だったので名前はユキにしてそうして世話をしだしたのだが。
病院に連れて行き餌も食器も用意しておもちゃも飼ってあげて。
猫の
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