戦姫絶唱シンフォギアG
第2楽章〜ネフィリムの目覚め〜
第10節「終焉を望む者、終焉に臨む者」
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『──いいか、今夜中に終わらせるつもりで行くぞ!』
時刻はもうじき午前3時。
俺達五人は郊外の廃病院に集まっていた。
季節外れの肝試し、などという愉快なものではない。
この場所が武装組織フィーネの潜伏先である、という情報を緒川さんが突き止めたのだ。
『明日も学校があるのに、夜半の出動を強いてしまい、すみません』
「気にしないでください。これが私達、防人の務めです」
「街のすぐ外れに、あの子達が潜んでいたなんて──」
廃病院を見上げ、響が呟いた。
『ここは、ずっと昔に閉鎖された病院なのですが、二ヶ月前から少しずつ、物資が搬入されているみたいなんです。ただ、現段階ではこれ以上の情報が得られず致し痒しではあるのですが、何者かが潜んでいるのは間違いないと思われます』
「尻尾が出てないのなら、こちらから引き摺り出してやるまでだッ!」
「あまり早まらないでね、クリスちゃん!」
クリスが真っ先に走り出し、俺達もその後に続いて病院へと入っていく。
ちなみにこの病院の名は『浜崎病院』。元々は規制緩和にて外国企業の国内医療分野への参入が認められた直後に新設された医療更正施設だ。
医療費の価格破壊を掲げ、開院当初こそ入院希望患者が引きも切らない状態であった。
だが、度重なる医療ミスに加え、院長である浜崎・アマデウス・閼伽務が事故に見せかけて患者を殺害する事件までもが発生し、ほどなくして閉鎖の憂き目を見ることになったらしい。
廃病院となって久しいのだが、 近隣では怪人出没の噂の絶えない有名な心霊スポットとなり、現在では若いカップルや暴走族の新人メンバーの肝試しの場として利用されている……というのはよくある話だろうが、あの武装組織の潜伏先である事実を鑑みると、怪人出没の噂も割と新しいものなのかもしれない。
ってか、「あかむ」って名前に場所が海沿いって……SAN値が削れかねない不吉さだ。
これは噂になるのも無理ないな……。
ff
その頃、ウェル博士もまた、突入してきた装者達をカメラで確認した頃であった。
「期待通り、来てくれましたね。……では、おもてなしといきましょう」
そう呟くと、ウェル博士はエンターキーを押す。
直後、装者達の向かう先の廊下にあるダクトから、赤いガスが散布され始めた。
無味無臭、しかも薄暗い院内では有色でも視認が困難なそのガスは、あっという間に院内に充満する。
装者達はそれに気付くことなく、院内の最奥へと走り抜けて行く。
「くくく……さあ、たっぷりとご馳走しますよッ!」
ウェル博士は狂気に満ちた笑みを浮かべながら、カメラの奥の装者達を見つめるのだった。
ff
「やっぱり、元病院ってのが雰囲気出してますよね……」
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