暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
第八十三話 呂布、あえて騙されるのことその九
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「若しばれれば」
「呂布怒るだろうな」
「そうならない方が不思議なのだ」
 こうも話す張飛だった。
「人を騙すことだし。後ろめたいのだ」
「だよなあ。ちょっとな」
「はい、騙すことはよくありません」
 それはだ。徐庶もそうだと話す。
「けれどです」
「けれど?」
「けれどっていうと?」
「呂布さんは全てわかっておられます」
 徐庶が指摘するのはそのことだった。
「董卓さんのこともです」
「わかってるのだ!?」
「あの董卓が人形だってことを」
「そうです。わかっておられます」
 そのことをだ。張飛と馬超に話すのである。
「それでも。陳宮さんの御心もわかって」
「それでなのだ」
「騙されたふりをしてるってのかよ」
「はい、そうです」
 まさにだ。その通りだというのだ。
「呂布さんはそうされてるんです」
「ううん、じゃあ呂布は何もかも全部わかって」
「それで動いてるんだな」
「そうです。あの方も凄い方です」
 徐庶は呂布を賞賛さえした。
「そのうえでなのですから」
「ただ強いだけじゃないと思ってはいたのだ」
「そうした気配りもできるんだな」
「そうさせているのは陳宮さんです」
 彼女がだというのだ。
「あの方の真心がです」
「呂布をそうさせたのだ」
「そうなんだな」
「そうなります。陳宮さんは呂布さんにとって」
 どうかともだ。徐庶は話した。
「本当にかけがえのない方なんです」
「心と心で結ばれている」
「そうした関係か」
「はい、まさにそうなっています」
「そうなのだ。じゃあ呂布にとって陳宮は」
「陳宮にとって呂布はだ」
 まさにだ。お互いにであった。
「無二の存在なのだ」
「そこまでの相手なんだな」
 そのことがだ。二人にもわかったのだった。
 そうした話をしながらその呂布を見ていた。呂布は。
 車椅子の傍にいる。無論陳宮も一緒だ。
 その陳宮にだ。こう言うのだった。
「ねね」
「はい、恋殿」
 陳宮もすぐに呂布の言葉に応える。
「何でしょうか」
「有り難う」
 こう言ってだ。礼を述べるのだった。
「今回も有り難う」
「有り難う。まさか」
 今の言葉でだ。陳宮も察した。
 そのうえでだ。彼女に問い返した。
「恋殿は」
「これで美味しく食べられる」
 呂布は答えない。その代わりにこう言うのだった。
「また。食べ物を美味しく食べられる」
「はい、それはなのです」
 陳宮もだ。そのことには笑顔で応えた。
 そしてだった。呂布に対してこんなことを話した。
「では恋殿」
「うん」
「今から食べましょう」
 こう話すのだった。呂布に対して。
「何がいいのです?」
「御饅頭」
 それだと答える呂布だった。
「肉まん。ただ」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ