第一章
[2]次話
ケップとジマイマのお話
コリー犬のケップはこの時あひるのジマイマと自分の小屋の前でお話をしていました、そのお話の内容はといいますと。
ジマイマはケップに熱心に自分の好物のお話をしていました。
「だから玉蜀黍がね」
「一番美味しいんだね」
「そうなのよ、もうこれは最高よ」
こうケップにお話します。
「私これがご飯に出たら最高に幸せだから」
「そうなんだね、けれど僕はね」
ケップはジマイマのお話を聞いて言いました。
「玉蜀黍は食べないからね」
「だからなのね」
「僕は犬だよ」
だからだというのです。
「それで玉蜀黍も食べないし」
「私の他の食べものもなのね」
「うん、食べないよ」
そうだというのです。
「そもそもね」
「というか貴方が好きな食べもので私の好きな食べものはあるかしら」
「そう言われると」
どうかとです、ケップも答えました。
「どうかな」
「あんたが一番好きな食べものは何かしら」
「マトンをじっくり煮たものだね」
ケップはジマイマにすぐに答えました。
「僕の一番の好物は」
「私お肉食べないわよ」
すぐにです、ジマイマはケップに答えました。
「小さなお魚とかは食べないわけじゃないけれど」
「ジマイマさんは基本お野菜が好きだね」
「麦とかもね」
「あとお米かな」
「そうしたものは好きだけれど」
それでもというのです。
「お肉はね」
「食べないよね」
「けれどあんたはお肉好きよね」
「犬だからね」
「それを言うと私は家鴨だからね」
「それぞれ違うね」
「それでいて同じ好きなものっていうと」
それこそとです、ジマイマはケップに考えるお顔で述べました。
「何かあるかしら」
「どうだろうね」
「それであんた今日の朝ご飯は何だったの?」
ジマイマはケップに今度はこう尋ねました。
「それで」
「うん、オートミールだったよ」
「あら、オートミールなの」
オートミールと聞いてです、ジマイマは楽しそうに声をあげました。そのうえでケップに対して言いました。
「私も今朝はそれだったわ」
「あっ、そうだったんだ」
「オートミールいいわよね」
「うん、朝ご飯には一番だよね」
ケップはオートミールのその味を思い出して尻尾を横にぱたぱたとさせます、そのうえで言うのでした。
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