第三章
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「何もかもが違ってくるから」
「いいのよね」
「疲れてる時もね」
「そうね、ベルがいるとね」
「頑張れるでしょ」
「明るくなった分だけね」
「だからね」
母は娘にさらに言った。
「これからもあの子を大事にするのよ」
「そうするわ、今じゃ私達の息子みたいなものよ」
「そうね、二人共前に見た時より疲れが取れているし」
「まだ仕事は大変ですが」
それでもとだ、娘婿も話した。
「何とかです」
「癒されてなのね」
「ベルに。それでやっていけてます」
「この人ベルが来るまでもう大変で」
娘がまた話した。
「倒れそうだったの」
「それがなのね」
「ベルが来てくれてからはね」
「ましになってるのね」
「アニマルヒーリング、ですね」
娘婿はこの言葉を出した。
「それを貰ってます」
「私もね、今みたいな状況も続かないし」
忙しいそれはとだ、娘は母に話した。
「ベルと一緒に頑張っていくわ」
「愛にもベルと一緒にいてもらいます」
「そうしていってね」
母は娘夫婦に笑顔で話した、そしてだった。
夫婦で家に帰ったその時にだ、家の玄関でキンタを見て挨拶をした。
「只今、キンタ」
「留守番お疲れ様」
「ワンッ」
キンタは二人を見るとすぐに立ち上がって尻尾をぱたぱたと横にさせた、そうして散歩に出てご飯を美味そうに食べた。
この時から少し経ってだ、二人はまた娘夫婦の家に行ったが。
娘夫婦は以前よりもさらに元気になっていた、それで言うのだった。
「段々よくなっています」
「ベルがいてくれるから」
「あと少しで仕事が忙しいのも終わります」
「乗り切れそうだわ」
「これもベルがいてくれるからです」
「本当によかったわ」
「そうよね、愛もベルと凄く仲がいいし」
今は庭でベルと遊んでいる、孫娘も犬もとても楽しそうだ。母はその光景を見つつ娘に目を細めさせて話した。
「よかったわ」
「ええ、犬がいる生活はいいわ」
「そうでしょ、楽しんでいってね」
「そうしていくわ」
娘も笑顔で応えた、この時から暫くして娘婿は多忙だった時期を終え普通の状況に戻った。そうして家族は穏やかな日常を取り戻しベルとさらに親密になっていった。二人はそんな娘の一家のことを聞いてまたしても目を細めさせたのだった。
孫娘と柴犬 完
2020・4・22
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