第三章
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「あの子ずっとひとりぼっちだし」
「一ヶ月経っても飼い主が見付からないしな」
「それじゃあね」
「うん、あの子も家族にしてあげよう」
「どうなるか心配だけれどな」
「あの子も飼い主が必要だし」
両親は娘に言われて決心した、そしてだった。
一匹だけ残った子猫は引き取り飼うことにした、猫の名前も黒子が名付けタマとなった。そのタマであるが。
両親はポチとタマの顔合わせの時不安で仕方なかった、やはりそれは彼等が犬と猫という間柄だからだ。
それでだ、その時も言っていた。
「大丈夫かな」
「そうよね」
「喧嘩しないか」
「犬と猫は仲が悪いわ」
「幾らポチが大人しい子でも」
「大丈夫かしら」
本当に不安だった、だが遂にその時が来て。
黒子が室内飼い散歩の時以外はそうしているポチをタマの前に連れて来た、すると。
「ワン?」
「ニャン?」
両者はお互いを見てまずは驚いた、そして。
警戒しつつ近付いてだ。そこから。
すぐに身体を近寄せ合った、ポチは尻尾を左右にぱたぱたとやりタマは喉を鳴らした。両親はそれを見てほっとした。
「打ち解けたみたいだな」
「早速仲良くなったみたいね」
「ああ、凄く心配したけれどな」
「そうなったみたいね」
「だってポチ凄くいい子だから」
黒子は最初からわかっているという言葉を出した。
「誰とでも仲良くなれるから」
「それでか」
「猫ちゃんでも大丈夫だっていうのね」
「うん、そうだよ」
両親にもこう言った。
「全然大丈夫だって思ってたよ」
「そうか、ポチが誰とでも仲良くなれるからか」
「そうした子だからなのね」
「私大丈夫って思ってたわ」
黒子はポチとタマのところに来てだった。
二匹と遊びだした、タマは彼女にもすぐに懐いた。
黒子はこの時からポチだけでなくタマの世話もする様になった、大人しく優しいポチと違いタマはやんちゃで悪戯好きだった、だが。
黒子はそのタマにもご飯をやってブラッシングをして優しく接していた。その中で。
二匹と楽しい時間を過ごした、そうして両親に言うのだった。
「私ポチとタマが一緒でね」
「本当にいいか」
「そう言うのね、黒子ちゃんは」
「うん、最高に幸せよ」
その二匹と一緒にいながらの言葉だった、そうして。
この日も二匹の世話をした、二匹はお互いに仲良くしながら黒子とも仲良くしていた。それは実の姉弟達よりも仲睦まじいものだった。
心配だった仲も 完
2020・4・21
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