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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギアG
第2楽章〜ネフィリムの目覚め〜
第8節「戸惑いのカルマート」
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え、右腕に通常用の義手を装着。

「ツェルト!」
「マリィ!この警報は!?」
「分からないわ……でも急ぎましょう!」

マリア達と合流し、四人はナスターシャ教授がいる部屋まで一気に駆け抜けた。



五枚の隔壁が瞬時に降ろされ、強固なロックが掛けられる。

マップの上に【LOCKED】と赤文字で表記されると、ナスターシャ教授は警報を止め、一息吐く。

カメラの映像を確認すると、ネフィリムは荒い息遣いで、与えられた新たな餌に喰らい付いていた。

「……あれこそが伝承にも描かれし、共食いすら厭わぬ飢餓衝動……。やはりネフィリムとは、人の身に過ぎた──」
「人の身に過ぎた、先史文明期の遺産……とかナントカ思わないでくださいよ」
「ドクター・ウェル……」
「たとえ人の身に過ぎていても、英雄たる者の身の丈に合っていれば、それでいいじゃないですか」

暗がりから現れたウェル博士は、コートのポケットに両手を突っ込みながら、極めて穏やかな表情で微笑んでいた。

そこへ、マリア達が入室する。
風呂上がりであるため、女子三人の服装はバスローブやネグリジェ、キャミソールといった生地の薄いものが並ぶ。

お陰で見事にツェルトが浮いてしまっているのだが、女性の比率が高い以上は仕方ないだろう。

「マムッ! さっきの警報は──あっ……」

モニターに映るネフィリムに、マリアは全てを察した。

「次の花は、まだ蕾ゆえ、大事に扱いたいものです」
「心配してくれたのね。でも大丈夫、ネフィリムが少し暴れただけ。隔壁を下ろして食事を与えているから、じきに収まるはず」

病院全体が大きく揺れる。
ネフィリムがまだ暴れているのだ。

「マム──」
「対応措置は済んでいるので大丈夫です」
「それよりも、そろそろ視察の時間では?」
「フロンティアは、計画遂行のもう一つの要。軌道に先立って、その視察を怠るわけにはいきませんが……」

ウェルの言葉に、ナスターシャ教授は彼を訝しげに見つめる。

「こちらの心配は無用。留守番がてらにネフィリムの食料調達の算段でもしておきますよ」

対するウェル博士は、人の良さそうな笑みでそう返した。

「では、ツェルトを護衛に付けましょう」
「こちらに荒事の予定は無いから平気です。ソロモンの杖だってありますし。寧ろ、そちらに戦力を集中させるべきでは?」

ウェル博士の言う事は尤もだ。
ソロモンの杖がある以上、護衛を付ける利点は薄い。

一方、ナスターシャ教授はこの組織を率いる存在だ。
護衛の数は多いに越したことはない。

「わかりました。予定時刻には帰還します。後はお願いします。行きましょう」

そう言って車椅子を動かし、マリア、切歌、調と共に立ち去っていく
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