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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギアG
第2楽章〜ネフィリムの目覚め〜
第8節「戸惑いのカルマート」
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る。

二人がその両手を繋ぎあった所に、スタスタと足音が近づく。

髪を下ろしたマリアが、二人の更に隣のシャワーを浴び始めた。

「それでも私達は、私達の正義とよろしくやっていくしかない。迷って振り返ったりする時間なんてもう、残されていないのだから……」
「マリア……」
「……」



その頃、反対側にある男子用のシャワールームでは、ツェルトが一人でシャワーを浴びていた。

途中、壁を殴る音に驚いたりしてはいたが、ずっと考えていたのは調と同様、特機部二の装者の事だった。

(風鳴翔……。日本政府の重役の家柄だって聞いた時は、“日本政府の防人”と名高い姉と違って、さぞかしいけ好かない甘ちゃん野郎だと思っていたんだが……)

響を“偽善者”と断じた調と対照的に、ツェルトの心には迷いが生じ始めていた。

『姉さんのライブを台無しにしたお前に、振るう資格などあるものかッ!!』
『地に沈め、擬き者っ!』

(姉さんのライブ、か……。なんだよ、それ……そんな事言われちまったら、まるで俺達、ヴィランみたいじゃねぇか……ッ!)

翔の言葉には、姉への強い思いが込められていた。

大義や正義といった大きなものではなく、姉の晴れ舞台を楽しみにして来た一人の弟としての……とても少年らしい、等身大の怒り。
その怒りはとても身近な必然を伴ったものであり、同時にあの場にいた観客達の心とも合致していた筈の言葉だ。

それがあの瞬間、ツェルトの心を抉った。

(俺達には果たすべき使命がある。救わなければならない人達がいる。だから、正道ではないと理解した上でこの道を選んだんだッ! なのに……クソッ! どうしてこんなにも、胸が痛いんだよッ……!)

「それでも私達は、私達の正義とよろしくやっていくしかない。迷って振り返ったりする時間なんてもう、残されていないのだから……」
「ッ!?」

ツェルトの迷いを見通したように、隣の女子シャワールームからマリアの声が聞こえた。

「……マリア……そう……だよな……」

ツェルトは右の二の腕をギュッと握る。

肘から下のない、義手の外れた隻腕。
それは決して消えない、忘れられない傷跡。

片腕で済んだ自分と違って、あの日守れなかった少女は全身に火傷を負い、今でも目を覚まさない。

(俺の不甲斐なさが、あの娘を……セレナをあんな目に……)

左手に自然と力が入る。
もう迷わないと決めたのに、ブレそうになっている自分が腹立たしい。

(迷っている時間はない。振り返る暇さえ許されない。その間に失われる生命があるのなら……俺は──ッ!)

その時、警報音が鳴り響く。

「ッ!?」

慌ててシャワーを止め、脱衣所へと走る。
急いで髪を拭きながら着替
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