戦姫絶唱シンフォギアG
第2楽章〜ネフィリムの目覚め〜
第8節「戸惑いのカルマート」
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いる?」
『ライブ会場付近に乗り捨てられていたトレーラーの入手経路から、遡っているのですが……』
『この野郎ッ!』
緒川の声とは別に、オラついた乱暴な声や銃声、その他争いによって生じる騒音が入っているのだが、気に留める者は誰もいない。
情報部の仕事で色んな場所へと赴く緒川にとっては、戦闘・鎮圧をこなす片手間で報告を入れるなど朝飯前なのだ。
通信に反社会勢力の悲鳴が入っている事など、よくある事なのである。
『辿り着いたとある時計屋さんの出納帳に、架空の企業から大型医療機器や医薬品、計測機器等が大量発注された痕跡を発見しまして』
『うおぉッ!?』
『こいつ、忍法を使うぞッ!? ぐわぁッ!』
「医療機器?」
『日付は、ほぼ二ヶ月前ですね。反社会的なこちらの方々は、資金洗浄に体良く使っていたようですが……この記録、気になりませんか?』
「ふぅむ……追いかけてみる価値はありそうだな」
ようやく発見した、武装組織への足がかり。
緒川は戦闘で散らかり、気絶した組員達で死屍累々とした反社会勢力の事務所の中にて、端末を肩で支えながら確信めいた笑みを浮かべた。
ff
町外れの廃病院。そのシャワールームにて。
金の短髪の少女、切歌は隣でシャワーを浴びる黒髪の少女、調へと興奮気味に話しかけていた。
「──でね、信じられないのは、それをご飯にザバーッとかけちゃったわけデスよ! 」
「……」
「絶対おかしいじゃないデスか。そしたらデスよ……?」
先程からずっと黙り込んだままの調は、心ここに在らずといった様子だ。
「……まだ、アイツの事を……デスか?」
調は、一週間前に交戦したシンフォギア装者……立花響の事を思い出していた。
『話せば分かり合えるよッ! 戦う必要なんか……ッ!』
「……なんにも背負ってないアイツが、人類を救った英雄だなんて、わたしは認めたくない」
「……本当にやらなきゃならない事があるなら、たとえ悪いと分かっていても、背負わなきゃいけないものだって……」
「……。……ッ!」
苛立ちが募ったのか、切歌がシャワーを止めた次の瞬間。
調はカッと目を見開き、力任せに壁を殴り付けた。
「困っている人達を助けると言うのなら、どうして……ッ!」
あくまでも調の視点だが。彼女から見た立花響という装者は、自分達のように背負っているものもなく、何も知らないクセに『話せば分かり合える』等という甘ったるい理想論を口にする、この世界にありふれた偽善者の一人として映っていた。
そんな彼女の無神経さが、調にはとても気に障ったのだ。
「調……」
切歌はゆっくりと調の手を取ると、その拳を優しく開かせ、自分の手を握らせた。
握られた切歌の手に、調はもう片方の手を重ね
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