戦姫絶唱シンフォギアG
第2楽章〜ネフィリムの目覚め〜
第8節「戸惑いのカルマート」
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
町外れ、海沿いに存在する廃病院。
その奥にあるモニターの前にて、キーボードを操作するのはマムと呼ばれる老年の女性……米国の聖遺物研究者、ナスターシャ教授だ。
モニターに映し出されているのは、先日の戦闘記録。
響達がS2CAを放った瞬間の映像。
「他者の絶唱と響き合うことで、その威力を増幅するばかりか、生体と聖遺物の狭間に生じる負荷をも低減せしめる……。櫻井理論によると、手にしたアームドギアの延長に絶唱の特性があるというが、誰かと手を繋ぐ事に特化したこの性質こそ、まさしく立花響の絶唱……。降下する月の欠片を砕くために、絶唱を口にしてもなお、装者達が無事に帰還できた最大の理由──」
そこで映像は切り替わり、今度は先日の戦闘にて生じたフォニックゲインにより起動させた、二つの聖遺物の画像……そして、片方の上に開かれたブラウザには現在、別室にて撮影中の映像が表示される。
「絶唱の三重奏、更にはその力をより安定させ、より効果的なものへと昇華する風鳴翔のアームドギア……。ならばこそ計測される爆発的なフォニックゲイン。それを以てして、ネフィリムを、天より落ちたる巨人を目覚めさせた……。そして、“生弓矢”もまた──」
ネフィリム。そう呼ばれた怪物は、檻の中で餌を貪っている。
一目で自然界の生物ではない、と判別できるほどに不気味なその外見。
一心不乱に餌にありつくその姿には、それが抱くおぞましささえ感じるほどの貪欲な飢餓衝動を感じさせる。
覚醒の鼓動。それはこの世に解き放たれて良いものだとは、とても言えない存在が目覚めた証だった。
ff
「ライブ会場での宣戦布告から、もう一週間ですね」
特異災害対策機動部二課仮設本部、発令所。
藤尭、友里の両名は、司令である弦十郎からの支持で、ネットワークを通じての情報収集に勤しんでいた。
「ああ。何もないまま過ぎた一週間だな」
「政府筋からの情報ではその後、フィーネと名乗るテロ組織による一切の示威行為や、各国との交渉も確認されていないとの事ですが……」
「つまり、連中の狙いがまるで見えてきはしないという事か」
「傍目には、派手なパフォーマンスで自分達の存在を知らしめたくらいです。お陰で、我々二課も即応出来たのですが……」
「事を企む輩には、似つかわしく無いやり方だ。案外、狙いはその辺りなのか?」
あれ以降、武装組織『フィーネ』に関しては一切の情報が得られていない。
その上、あれだけ派手にアピールしていながらも、その後一週間も音沙汰がないのだ。
全世界に向けて、ド派手に宣戦布告した組織とは思えない程の大人しさに、弦十郎達は警戒を募らせていた。
そこへ、緒川の端末からの入電が入った。
『風鳴司令』
「緒川か。そっちはどうなって
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ