第8章:拓かれる可能性
第241話「戦線瓦解」
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無象に過ぎないさ。重要なのは、妖を構成する瘴気と、それを集めるための時間さね。それも、もう充分だ」
“天使”の攻撃を避け、別の“天使”を踏み台に紫陽の元まで鈴がやってくる。
その鈴の問いに、紫陽は答え、同時に掌を上空へ向けた。
「全員に伝えな。敵に回避行動を取らせないようにしろ、とね」
「……っ……なるほど、分かったわ」
掌に集まってくる瘴気を見て、鈴は紫陽がやろうとする事を理解する。
すぐさま戦場へ戻り、同時に伝心で紫陽の言葉を伝えていく。
「な、なにを……」
「那美、久遠。そこの二人を避難させておきな。葉月ならともかく、あんた達は巻き添えを喰らったらタダじゃ済まない」
「そ、そうだね……久遠、そっちの子お願い」
「分かった……!」
具体的に何をするのか、それには那美にもわからない。
それでも、集束する瘴気を見て、すぐに聡と玲菜を避難させようとする。
「ま、待ってくれ!一体、何をするつもりなんだ!?」
「私も良くは知らないよ。……でも、多分集めた瘴気を使って殲滅するんだと思う。瘴気は、人の身にとっては有害だからね。いくら生死の概念が壊れていても、苦しいのには変わらないからね」
「瘴気……」
「毒ガスみたいなものだよ。とにかく、君達二人はこっちに!」
紫陽から離れた場所に陣取り、身を隠すように那美が霊術を張る。
その時には、既に紫陽が準備を終えていた。
「さぁ!あんたらの自業自得だ!あんたらの積み上げた罪、積み上げた業を以って、魂をも蝕む瘴気は完成された!!」
―――“禍式・瘴罪之業獄
「耐えられるものなら、耐えてみな!!」
あちこちで倒された妖やトバリの残滓が蠢く。
それらは棘や触手となって神や“天使”へと襲い掛かる。
「なっ……!?」
それだけなら、敵は対処してきただろう。
だが、恐るべきはその棘や触手の速さや鋭さ、そして瘴気の濃さだ。
理力の障壁すら、瘴気で侵食し、瞬く間に“天使”を貫き、引き裂く。
「ッ……余波だけで、こんな……!」
紫陽を中心に、途轍もない量の瘴気が渦巻く。
その影響を那美達も障壁越しに受けており、それだけ強さを感じ取っていた。
「(イリスみたいな“闇”とかの“性質”には効かないが……それで洗脳されてる程度の奴らなら、こいつで行けるはずだ……!)」
妖の残滓だけでなく、紫陽が集束させていた瘴気からも、枝葉が分かれるかのように“天使”達へ群がっていく。
まさに、どこまでも殺そうと追いかける呪いのようだ。
「が、ぁああああああああああ……!?」
「妖やトバリを蹂躙した分だけ、その業がのし
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