暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第241話「戦線瓦解」
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「ッ……!!」

「くっ……!!」

 海鳴市に隣接する海。
 その海上で、いくつもの火花と衝撃波が迸る。

「なぜ……なぜ、こうも“圧倒”される……!!」

「(司ちゃん、間に合ったみたいだね……なら、私も終わらせないと……!)」

 息を切らすも、無傷なとこよ。
 対し、敵の神は体中傷だらけになっていた。
 四肢や首を何度も斬り落とされ、その度に理力で補填、再生していた。
 眷属の“天使”は既に全滅し、とこよが完全に圧倒していた。

「はぁっ!!」

「ッ、がぁっ!?」

 神速の剣戟が繰り広げられる。
 とこよは刀一本で、神の扱う不定形な理力の武器を退け、斬りつけた。
 それまでは、とこよ優勢とはいえ拮抗していた戦いが、ここに来てさらにとこよにとって有利になってきた。

「この世界にいる限り、例え神界の神であろうと、この世界の法則に囚われる……!故に!ただ物理的に“強い”だけで、貴方を倒せる!」

「そんな……それだけで、この“性質”を無効化出来るはずが……!」

「“性質”が弱まったのは、ついさっきだよ。……そっか、本人であろうと、自身の“性質”を全て理解している訳じゃないんだね。良い事を聞いたよ」

「しまっ……!?」

 失言をしてしまったと悟る神。
 有用な情報を聞き、とこよは笑みを深める。

「このまま決めさせてもらうよ!」

「くそっ……!ぐぁっ!?」

 攻撃を受け止め、逸らし、反撃し……空ぶった。
 神の反撃を避けたとこよは、そのままカウンターばりに蹴りを決め、吹き飛ばす。

「……森羅万象を以って、森羅万象を……そして、空を斬る……!」

 霊力が、妖力が、そして、神力がとこよの刀に集束する。
 それだけでなく、五行の属性をも宿す。

「……シッ!!」

   ―――“森羅断空斬”

 転移の霊術が起動し、神に肉薄。
 そして、刀が振るわれた。

「……終わったから言うけど、一撃でも貰えば私が負けていたんだよね」

 たった一撃。それだけで決着がついた。
 神は左右に分かたれ、そのまま海へと墜ちた。

「……よっ………と」

 宙を蹴り、とこよはそのまま岸まで辿り着く。
 そして―――



「っ、ごほっ、ッ、ぁ、ぐっ……!」

 ―――血を吐いた。

「や、やっぱり……八柱は、無茶過ぎたかな……」

 吐血だけでなく、目から、そして体の所々の血管から血が出ていた。
 多重神降しの反動が、ここに来てとこよを襲っていた。

「ぐ……ぁ、ふっ……!」

 四肢に力を入れても、激痛が走るだけ。
 これ以上の戦闘行為は不可能だった。


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