第三章
[8]前話
「運命かも知れないわね」
「残り者同士でか」
「そう思ったけれどどうかしら」
妻は夫に顔を向けて問うた。
「これは」
「そうかもな」
夫も否定せずに帰した。
「言われてみればな」
「その可能性あるわよね」
「ああ、本当にな」
「そう思うとね」
「これも縁だな」
「最後まで残った者同士が一緒になってね」
「仲良くなることもな」
そうなることもというのだ。
「なかったな」
「そうよね、縁よね」
妻はこうも言った。
「本当に」
「犬と猫の出会いもな」
「そうよね、あとね」
「あと?」
「何かベンとチャってお話してるけれど」
明らかにそんな風だ、妻は夫にこのことについても話した。
「犬と猫で出来るのかしら」
「種類は違ってもか」
「ええ、出来るのかしら」
「そうじゃないのか?」
夫の返答は実はあまり考えてはいない、そう言われてみればそうではないかというものだった。その返事で言うのだった。
「何だかんだでな」
「何だかんだって」
「その辺りの事情はわからないからな」
それでこう言うというのだ。
「だからな」
「そう言うのね」
「ああ」
こう妻に言った。
「僕も。けれど仲がよくて会話も出来てるなら」
「いいのね」
「そうだろ」
「そうね、じゃあ」
「いいだろ」
「そうね、じゃあ今からね」
妻は夫にまた言った、今度は何かというと。
「ご飯あげるわ」
「ワン」
「ニャア」
ベンとチャはその言葉に応えた、そして二匹並んで仲良く食事を摂った。夫婦はその姿を見てまた屋笑顔になった。その笑顔はとても優しいものだった。
残った者同士 完
2020・4・20
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