戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章〜黒の装者達〜
第7節「S2CA」
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バンカーの要領で打ち込まれた膨大な絶唱エネルギーは、ノイズを一瞬で炭素の塊へと粉砕する。
否、そのエネルギーはノイズを殲滅するに留まらず、虹色の竜巻となって天へと登り、空を穿ち、大気圏を飛び越えてようやく霧散する程のものであった。
その光景はライブ会場を撤退し、離れたビルの屋上からその様子を伺っていた三人の装者にも届いていた。
「なんデスか、あのトンデモはッ!?」
「綺麗……」
あまりの突飛な光景に瞠目する切歌。
その一方、場違いとも言えるが率直な感想を呟く調。
そして……
「こんなバケモノもまた、私達の戦う相手……くッ」
「……」
虹色の竜巻を睨みながら歯噛みするマリアを、ツェルトは静かに見つめていた。
ff
ライブ会場の様子をモニタリングしながら、ビル下の立体駐車場に駐車された特殊車両の中。
モニターに表示されるのは、虹色の竜巻。
そして、二つの聖遺物らしきもの。
一つは赤子のように蹲った、甲殻生物の幼体のような見た目をしたもの。
もう一つは欠片。そちらは弦楽器の弦を支える琴柱によく似ていた。
それらの画像の上には『COMPLETE』の文字が点滅する。
絶唱により生まれる強大なフォニックゲイン。
それは響達の与り知らぬ所で利用され、二つの聖遺物を同時に起動する為に使われてしまっていたのだ。
「フッ……夜明けの光ね」
そして暗がりの中、マムと呼ばれている老年の女性は、自分達の目的への第一歩に、満足気な笑みを浮かべていた……。
ff
ノイズの驚異を退け、明かりの落ちたライブ会場には再び、不気味なほどの静寂が訪れていた。
後に残るのは風に吹かれて舞い散るチラシや、炭素分解されたノイズだったものの塵ばかり。
その真ん中で一人、立花響は膝を着く。
既にギアは解除されており、今の彼女は私服のセーター姿だ。
俯くその表情にいつもの明るい微笑みは消え失せ、代わりに広がるのは暗い影であった。
『そんな綺麗事をッ!』
『痛みを知らないあなたに、誰かの為になんて言って欲しくないッ!』
彼女の心の中に反響しているのは、先程交戦した紅刃のシンフォギアを纏う少女……調からの言葉だった。
調は手を差し伸べようとする響の言葉を、偽善だと斬って捨てた。
偽善。その言葉は、響の胸に酷く突き刺さる。
「無事か、立花ッ!」
ギアを解除した翼達が駆け寄る。
「へーき……へっちゃらです……!」
振り返った響の目には涙が伝っていた。
それを指で拭って笑う響に、クリスはしゃがみながら肩に手を置く。
「へっちゃらなもんか! 痛むのかッ!? まさか、絶唱の負荷を中和しきれなくて──」
「響ッ!!
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