五十七匹目
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女王ツェツィーリア、王太子妃トレーネ。
この国で五指に入る女性権力者である。
「あらあら〜いつまでも帰ってこないとおもったら〜アーネストも猫ちゃんに夢中なのですねぇ〜」
「と、トレーネ、これは、その、えっと」
「ま、私はかまわないんですけどね〜」
銀髪褐色美女が隣の赤毛美熟女にちらりと視線を向けた。
「ふぅ。アーネストは…まぁ。いいでしょう。よくはありませんが。
ですがアナタは……」
ツェツィーリアの拳に淡く赤い光が灯る。
無意識に魔力が集まっている状態…。
要するに、ツェツィーリアはぶちキレているのである。
「ま、待つんだツェツィーリア。ほ、ほらこの猫でも抱いて落ち着くんだ」
アルフレッドが猫を盾にするように掲げる。
「はぁ……。兎に角さっさと帰って仕事をしなさいアルフレッド、アーネスト」
「「はい……」」
その後、王と王子はとぼとぼと店を出ていった。
なお払った金額は小銀貨三枚。
つまり昼前11時頃に来てもう二時近いのだ。
そりゃぁツェツィーリアも怒るという物だ。
なお件のドラゴニュートの美女将軍様はもう三〜四時間ほど入り浸っている。
彼女等は金は持っているのである。
普段逃げられてしまう猫と触れ合える、それも一時間につき小銀貨一枚(日本円にして千円)であれば惜しくはないのだ。
それに攻勢師団群は平時には仕事がないのである。
ツェツィーリアとトレーネはそんな三人の横を通り、二階へ上がった。
靴を脱いで、ロッカーへ。
中に入ると無数の毛玉が畳の上で寝転がっている。
「可愛い〜」
トレーネが横座りになり、両手を広げると数匹の猫が寄ってくる。
二人を見て急いで礼をしようとした者をツェツィーリアが手で制する。
「猫好きに貴賤は無い。ここでは私もトレーネも、お前達もただの客だ」
さすがは夫婦と言うべきか、アルフレッドと同じように皆を諭し、ツェツィーリアが猫と触れあい始める。
「そういえば〜シラヌイ君はあそこで何をしていたのでしょうか〜」
「店の監視だろうな」
トレーネはダークエルフである。
魔力にも敏感であるため、マジックミラーの向こうのシラヌイを認識していた。
ツェツィーリアも同じく高位の魔法使いであるので、シラヌイが居ることはわかっていた。
「ふむ。ではシラヌイ君を呼ぶか? トレーネ」
「そうですねぇ〜。クーコの事も少し聞きたいですし〜」
「決まりだな……」
ツェツィーリアは辺りを見渡し、一番魔力量の高い猫に話しかけた。
「そこのケットシー。すこしお前たちの雇い主に用がある。呼んできてほしい」
呼び掛けられたケットシーは気
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