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レーヴァティン
第百五十話 北進その三
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「金銀財宝をな」
「ここに集めている軍資金だね」
「ああ、それをな」
「敵に見せるんだね」
「もうこれでもかと見せてな」
 そしてというのだ。
「うちが富もあるってことをな」
「見せるんだね」
「実際に大軍に大量の物資にな」
 それに加えてとだ、久志は話した。
「金もな」
「うちは持ってるからね」
「今やこの浮島一の勢力でな」
「産業も栄えてるからね」
「地中湖の貿易も殆ど握っている」
「それで富もあるし」
「塩山もあってな」 
 人間は潮がないと生きていけない、それで塩山を持っていることはそれだけでかなりの富になっているのだ。
「金山、銀山、銅山にな」
「鉄鉱山もあるし」
「富は浮島第一だ」
 だからだというのだ。
「俺達はその富もな」
「密偵達に見せて」
「あえて他の勢力に知らせるんだよ」 
 その莫大な富もというのだ。
「自分達に迫ってくる相手がどれだけ大きいか」
「そのことをだね」
「見せてな」
 そしてというのだ。
「戦っても絶対に勝てない」
「そのことを確信させるんだね」
「そうするな、じゃあ金も思いきりみせるか」
 アレクンサンドリアに軍資金として集めているそれをというのだ。
「そうするか」
「それじゃあね」
 こうしてだった、久志は補給体制も整えてそうして諸都市国家群や浮島東部のまだ帝国に降っていない諸勢力の密偵達にだ。
 大軍だけでなく多くの物資、そして莫大な軍資金である金も見せた。そうしつつ軍をアレクサンドリアからまずはシナイ半島に入ってだった。
 そこから水軍と並行して北上させていった、無論自身も大軍を率いている。そのうえで使者達をまだ降っていない諸勢力に送ると。
 彼等は次々と降っていった、そしてだった。
 まだ使者を送っていない勢力も降ってきた、そうしてビザンチウムまでで降っていない勢力はロードス島だけになっていた。
 それで久志はダマスカスに入ったところで言った。
「見せるって大事だな」
「ほんまにな」
 美奈代が応えた。
「物資にお金もな」
「見せるとな」
「大軍と合わせてな」
「そうしたらな」
 それこそというのだ。
「ほんまにな」
「逆らおうっていう勢力もな」
「うち等が遠くにおったらな」
「それを間近に見たらな」
 その時はというのだ。
「こうしてな」
「どんどん降ってくな」
「やっぱりその目で見るとな」
「人間考えが変わるな」
「聞くより見るや」
 美奈代は言い切った。
「百聞は一見に如かずや」
「その言葉真実だな」
「そや、それでや」
「大軍を持ってきてな」
「物資も持ってきてな」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「金も見せたらか」
「自分達より遥かに巨大な相手、絶対に勝てん
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